ジェフリーアーチャー作品の中でもとくに有名な作品である。この作品のストーリーは同じ日に全く違う境遇で生れた名家ケイン一族の一人息子、ウィリアムとポーランドの罠猟師の息子ヴワデグ(のちにアベルと改名)が一生涯をかけて戦いを繰り広げる話である。ケインは一族が経営する銀行の銀行家として、アベルは自らの手で創業したホテルチェーンの経営者としてそれぞれの成功を収めるが、お互いに争い、競い合いあっていくのである。どちらが勝利を収めるのかにも興味が惹かれるが、それよりもお互い高みを極めたもの同士の憎しみからでた奇妙な連帯感のようなものが美しく描かれている。アーチャー作品を読まれた方なら御存知かも知れないが、アーチャー作品にはサクセスストーリーが多い。それを陳腐なサクセスストーリーで終らせないあたりが、アーチャー作品の魅力である。アーチャーは元英国国会議員という経歴を持つ。それだけではなく、在職中に破産し、それで作家になったという人物でもある。よってとくに政治や国家の描写についてとくに優れたものを書いている。「ケインとアベル]は政治関係に関する描写はそれほど多くないが、移民流入時代や大恐慌などの時代描写はアーチャーを優れたストーリーテラーたらしめている。私にはアーチャーが文学的に優れた作家かどうかはわからない。アーチャー本人も「自分が小説家ではなく、ストーリーテラーだ」といっている。彼にとって小説家というのはヘミングウェイのような人のことのようである。それを踏まえた上で私はこの作品をレベルの高い娯楽作品としてお薦めする。またこの作品は同著書「ロスノフスキ家の娘」が続編となっている。