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ケアの社会学――当事者主権の福祉社会へ
 
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ケアの社会学――当事者主権の福祉社会へ [単行本]

上野 千鶴子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,993 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

――超高齢社会における共助の思想と実践とは何か?!

――「ケア」関係における当事者主権とは何か?!

社会の高齢化が進む中で、今後ますます重要性を増してくる「ケア」の問題は、これまで十分に冷静な議論がなされてきたとは言えない。介護労働者が不足し、そのニーズが増す一方で、彼/彼女らの労働環境は、現在も低水準が維持され続けている。さらに「ケア」は家族の心情や道徳意識に強く働きかける領域であるが故に、主婦などの無償の奉仕労働として扱われがちである。こうした問題の批判的検討に加えて、本書はこれまでもっぱら「ケアする側」の立場から語られてきたこの問題を「ケアされる側」の立場から捉え返し、介護現場における「当事者主権」とは何かを明らかにする。

『家父長制と資本制』で切り開かれた家事労働論・再生産論をさらに先へと押し進めた、上野社会学の集大成にして新地平!!

調査期間10年、総計500ページ超!

【目次構成】

第I部 ケアの主題化
第1章 ケアとは何か
第2章 ケアとは何であるべきか
第3章 当事者とは誰か

第II部 「よいケア」とは何か
第4章 ケアに根拠はあるか
第5章 家族介護は「自然」か
第6章 ケアとはどんな労働か
第7章 ケアされるとはどんな経験か
第8章 「よいケア」とは何か

第III部 協セクターへの期待
第9章 誰が介護を担うのか
第10章 市民事業体と参加型福祉
第11章 生協福祉
第12章 グリーンコープの福祉ワーカーズ・コレクティブ
第13章 生協のジェンダー編成
第14章 協セクターにおける先進ケアの実践
第15章 官セクターの成功と挫折
第16章 協セクターの優位性

第IV部 ケアの未来
第17章 ふたたびケア労働をめぐって
第18章 次世代福祉社会の構想

内容(「BOOK」データベースより)

超高齢社会における共助の思想と実践とは何か?!膨大なフィールドワークと精緻な理論に裏打ちされた、上野社会学の集大成にして新地平。

登録情報

  • 単行本: 504ページ
  • 出版社: 太田出版 (2011/8/4)
  • ISBN-10: 4778312414
  • ISBN-13: 978-4778312411
  • 発売日: 2011/8/4
  • 商品パッケージの寸法: 21 x 15.4 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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カスタマーレビュー

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最も参考になったカスタマーレビュー
59 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 希望の書 2011/8/17
 大著である。学究の書である。今後の「ケア」「福祉社会」を論じる際の重要な基本図書である。
 このレビューは、その書を通読してのものではない。どういう書かを探ってのものである。早く、一冊でも多く人々の手元に届いてほしいからである。

「あとがき」の冒頭に「本書は過去10年余にわたる介護保険下のケアの理論的・経験的研究の成果である」と書いてある。研究は机上よりも現場調査を基としている。調査は1999年から2007年までの足かけ八年にわたっているという。1997年の介護保険法成立、2000年の同法制度実施に絡んでの調査研究であり、制度実施10年に合わせての上梓であると言えよう。また、東大大学院教授退官、新生への記念出版でもある。

 著者と福祉社会学の副田義也は、本書のゲラが出た上で2011年1月7日に長時間の対談を行い、『atプラス 07』(太田出版、2011年2月)に掲載した。26頁のその対談記録は、本書のよき解説であると同時に、その一部が本書に活用されて厚みを増しているようだ。

 さらに本書の序とあとがきは、3月11日以降に執筆され、日本のケアの現状と日本社会の将来への見通しを記して本書を画期的なものとしている。
 「初版への序文」という言葉を頭に置いた序は、「ケア―共助の思想と実践」と題されている。22頁に及ぶその序は、大震災で〈行政も警察も機能しなくなったとき、日本ではホッブズのいう「万人の万人に対する闘争」、弱肉強食の野蛮状態は現象しなかった〉とし、その理由は国民性や東北人の気質、血縁・地縁に求めず、「民主主義と市民社会の成熟の証しだと思えばよい」と指摘して理由を記している。つまりそこには「共助の思想と実践」が存在していたのだというのである。故に、「わたしたちが到達した社会はこのようなものだ。/希望を持ってよい。」と締めている。

 なお、この「共助の思想と実践」というフレーズの「共助」は、「ケア」の同意語かと考えられる。最終章(第18章)の最終節には「ケアの思想と実践とは、超高齢社会を生きるすべての人々にとって必須の課題なのである」とある。私たちはその要に「共助」があると解してこれからの日本における福祉社会の構築に努めたい。
 
 評者は78歳、まだ働いている連れ合いと暮らす昼間独居老人である。「良いケア」とは「個別ケア」だという本書第8章に同意しながら、「共助=ケア」にも同意すべく、少しの努力をして暮らしている。それにしても著者が今は「在宅ひとり死」を研究しているという「atプラス07」での発言に興味を持った。連れ合いと愚生とは、いずれは「在宅ひとり死」を生きることになるかもしれぬ。そこに、ケアなり共助なり、福祉社会の究極の現実があるのだと思う。

 本書は、「希望の書」でもあるし、「大いなる問題の書」でもある。愚生が「第?版の序」を読めるかどうか分からないけれども、著者の自愛と精励とを祈念する。
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
かなり専門的・学術的で、さぁ〜っと読んで直観的に「腑に落ちる」ように理解できる本ではないが、誰にも身近な問題なので、読んでいくと読む人それぞれの問題意識にヒットする諸相が満載!
そこを学者はどう捉え論じているか、
行政関係者や、医療・介護・福祉に携わっている方々を初め、今のケアをめぐる制度に不安を感じているすべての方々にお薦めの本である。

ケアを担うべき4セクターとして
(1)官セクター(国家)
 (2)民セクター(市場)
 (3)協セクター(市民社会)
 (4)私セクター(家族)
を挙げ、そのベストミックスを考えることが鍵であると論じている。

 ジェンダー論(男女平等論)で高名な著者であるため、
「ケアの社会化」というと、イコール「ケアの責任を家族(特に女性)から国家へ」という論だと誤解されているきらいがあるが、
もはや、これからの超高齢社会を「女が家庭に帰って介護も担う」ことで解決できると主張する人はいないだろう。
 まず4セクターの役割分担から考えていこうという点では、男女平等論者もそうでない人も意見が相反するものではない。
 歴史的に、また現状においても、ケアの諸相に社会階層とジェンダーが大きく関与しているのは確かであるが、それは、職を持っているか否か、その収入が家計を支える割合という意味でであり、
 ・ケアを仕事にする男性も増え、
 ・家計における女性の稼ぎが占める率も高まり、
 ・専業主婦が少なくなる一方で、年金をベースに副収入のために働きたい高齢者が増える中では、
ジェンダーとして意識される面は低下していく。

 よって、有償ボランティアや、介護NPOの低料金サービスについての、
<「当事者性」の原則にもとづいた精神から発してはいるものの、
実は、「お手伝いさんじゃないのよ」というプライドを保つための敢えて低い値段であり、
「中高年女性向けの非正規・非熟練労働の水準」に合わせた価格なのだ>
という鋭い分析は、もはや主婦層に向けてではなく、お元気高齢者が協セクターの担い手として働こうとする場合に、同じように、住民参加の「安上がり福祉」として官セクターの肩代わり・下請け化することへの危惧、とも読み換えられる。

 自分自身、有償ボランティアをやってみて思ったように、やはり、「ちょっと気は遣うけど、その分安くて済むお手伝いさん」的な中身では、「今やっとけば、後で自分が必要になった時やってもらえる」といった保証でもない限り、やる気がしないのは確か。
 ケアの中でも、「お世話」より、障害者の社会参加のための支援サービスに類似するようなサービス
(p.168〜p.185あたりに触れられているような、
 高齢者には当事者としての主体意識が低いために、「ニーズ」とされないできて、
 障害者自立支援法にはあっても介護保険では認められないサービス)
の方に、ボランティア(あるいは有償提供サービス)の中身がシフトしていくのではないかと思う。
 そして、こういう対人コミュニケーションの質が問われるサービスに関しては、たとえ外国人労働者の参入が解禁になったとしても代替される心配も少ない。

 医療・介護が一体となった包括的ケアの確立が急がれているが、公的に高水準に整備するのは難しい現況の下、協セクターへの期待は大きい。
 筆者は、協セクターが官セクターの下請けになってしまわないように、税金の投入は育成支援にのみとどめるべきと主張されているが、私は、もっと積極的に協セクターにお金がまわる仕組みがあっていいのではないかと思う。
(ただし、
・内容ややり方をギチギチに規定しないで自由度を高くして
・当事者が選ぶサービスが残るように
・税金への依存率が「底上げ」程度で、事業者の儲けにはならないように)
もっとも、底上げなんか必要ないくらいに、高い費用を払っても利用者があるのなら、税金で補助する必要はないのだが、
民セクターにはできないアットホームな小規模なサービスを志向すると、どうしてもボランティアの人手に頼る部分が大きくなるのではないだろうか。

 その一方で、
>弱者救済こそ真の意味の公的福祉、すなわち官セクターの役割であり、協セクターとは
役割分担すべきだろう。
                       (p.300より)
と筆者も述べておられるように、最低限の生活保持は、受益者負担にこだわらずに公的措置で守られるようにしていかないと、ゴミ屋敷や認知症者の行き倒れがあふれる世の中になってしまうだろう。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 必読書です・・・ 2012/3/30
By hiro
Amazon.co.jpで購入済み
ケアする立場にいるものとして、考えさせられる1冊です。
当事者主権という視点、現在の介護業界のあり方、そして今後の日本の福祉における課題が突きつけられています。
圧巻です。
自らのケアの在り方を振り返るうえでも、大変参考になりました。
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