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グールド魚類画帖
 
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グールド魚類画帖 (単行本)

リチャード・フラナガン (著), 渡辺 佐智江 (翻訳)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

タスマニアの孤島に流刑された画家グールドは、島の外科医殺害の罪で絞首刑を宣告される。残虐な獄につながれ、魚の絵を描き、処刑を待つグールド…。その衝撃の最期とは?「英連邦作家賞」受賞作品。


内容(「MARC」データベースより)

タスマニアの孤島に流刑された画家グールド。残虐な獄につながれ、魚の絵を描き、処刑の日を待つが…。タスマニア出身の気鋭作家による、奇怪な夢想と、驚きに満ちた世界。魚のカラー画収録。

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5つ星のうち 5.0 悪夢の迷宮で植民地世界の成り立ちを描く, 2005/8/4
す、すごい、、、、!!! 読みながらどこへ連れて行かれるかわからないキッカイなる世界。炸裂する様々なイメージと奇妙なねじれを持つ言葉によって描き出されるのは、植民地タスマニアの成り立ち。視点はもちろん、虐げられた側から。囚人と、原住民と、頭も心もビョーキの白人支配層と。塩水に漬けられた黒人の頭がぺちゃくちゃしゃべり、海中の牢に入れられた語り手はその牢の中にナゾの「王」を隠している。語り手が周囲の人間たちの本性を嵌め込んだ魚の絵が、鮮やかに物語を彩る。こんな夢魔の如き文章を読める日本語で組み立てた訳者の腕は素晴らしい!!!この訳者ならではの偉業。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 十二の魚, 2008/3/16
英連邦作家賞を受賞した作品で、ストーリーらしいストーリーがないと聞いていたので、難解な本かと思って避けていましたが、そうでもなかった。簡単に言えば流刑でタスマニア島に来た主人公グールドが描いた魚の絵にまつわる物語。タスマニアの画家グールドは実在する人物らしいですが、正確な伝記ではらしい。読み進めてくうちに、語りの巧妙さによって異世界につれられていく感覚に襲われました。作者の観念のなかに自分がすっぽりと飲み込まれいく感覚が非常に心地よくて、せっかくの休日なのに一日中読みふけってしまった。小説に現実逃避を求めている人は楽しめると思います。食わず嫌いせずにもっと早く読んでおけばよかったと後悔。翻訳もすばらしい。名作。
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24 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 おれには口がない、それでもおれは叫ぶ, 2005/8/6
語り手がウィリアム・ビューロウ・グールドなどという名前だし(あの劇作家とピアニストを連想したところでありきたりすぎるほど当然のことではないか?)、魚の絵に関する物語なので(幼いオレが読み潰した図鑑は決して哺乳類や鳥類ではなく、爬虫類・両生類でありそれ以上に魚類だった、図鑑中の魚の絵は本物とは全く別の色彩で彩色されつつも非常に美しく、トレーシングペーパーを当てて写したりしていた)、買わないわけにはいかなかったが、レジで値段を確認して驚いた。久しぶりにかなりの BB(=厚くて高い本)ではないか。原書(初版のハードカバー)では、各章はそれぞれ語り手の使ったインクの代用物に合わせて文字の色を変えてあるのだが、残念ながら、それはこの日本版では再現できなかったのだ(これだけの値段なのにと本当に残念だ、いや、再現しようとすれば「紙葉の家」並みの値段になってしまったのか、翻訳作業が容易でなかったことも想像できるし、魚の絵をカラーで収録したことや2色までは文字の色を変えるなど頑張っているので不当に高いとは思わないが)。ところで、さらに驚くべきことに、この語り手と魚の絵はフィクションではなかったのだ。実際に英国からこの島に流されたグールドなる男が絵を描き、実在の魚の絵36葉がタスマニアのオールポート美術資料館にあるのだという。まるでオーデュボン(作中名前のみ登場する)の優雅で繊細な鳥の絵の対極にあるかのような、名もない地味な色彩で描かれた魚たちの絵。本来の住み処である海中から紙の上に刻印され恨みがましい囚人の目で見上げる魚の絵が、タスマニア出身の作家(の小説などこれまでに読んだことがあるだろうか?)に霊感を与え、声を持たずに埋もれていた歴史に口を与えることになったのだ。確かに、マジックリアリズム(要するに、既成の語りに集約されない別の文化の土着の語り、何が現実かを決めるのは言葉の方であり、言葉自体が文化なのだから、と考えればそう呼んでもいいかもしれないが、この作品がそんな風に何かを代表しているとも思えない、もっと個人的な作家の声ではないのか?)だとかメタフィクション(わざわざそんな言葉を持ち出さなくても、そもそもそれ以外のどこに文学なんてものの立つ場所があるというのか)だとか、様々な枠組みで括りたくなるだろうが、そんなことはどうでもいい。くだらない方法論は物語の外側をグルグル回るだけ。それより、オレはこの声を知っていると思わずにいられない。つまり、虐げられ相手にされず拾われず誰にも気づかれることなく歴史の襞の端の方に埋もれた声、痛々しく苦渋に充ち、それでいてどれほど細くなろうと執拗にオレたちに語りかけてくる囁き声、ほんの一言に込められた限りない痛みの生々しさ、1つの声に重なる無数の呻き声、その力強さ、いびつに歪みなりふり構わず時にはあまりに遠くまで行きすぎてしまったんじゃないかと思わせつつも実はオレたちに聞かれるべく計算されつくした声、その計算はしたたかで本当は何ひとつ手を汚さないまま空想だけで書き上げられたと考えてみてもいいのだが(というより、その方が読者を心穏やかにしてくれるだろうし、小説なんてその程度のものである方が平和だろう、たとえそうでなかったとしても歴史の不均衡を正す力などないも同然で悲しみを与えるだけなので)、本当はどれほど突飛であろうとある意味で(語り手にとっては?)そんな言葉だけが彼の生のすべてであったと言えるのだが、とはいえ、こういうものを拾い上げる作業を文学がやらなくて誰がやるだろう?歴史なんてものの渾沌とした多重性を文学以外の誰が引き受けて証言するだろう?ドキュメンタリーなら、魚の剥製のようにカラカラに乾いて干からびた姿を晒すだけだ。もっとも、グールドの絵が表現しているものは普通の意味で目に映る現実ではないのだろうし、それですら一面的なのだろうが。とはいえ、これはオレの声なのかも。
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