古今東西/森羅万象の情報を検索できるようにすることが究極の目標というグーグルが、ある種のサイトを検索結果のリストから排除する操作をしています。グーグル八分と名づけられたその実態について迫った書です。
大変興味深く読みました。
私は本書の言い分すべてに与するものではありません。グーグル八分は、虚偽情報を流すという積極的かつ悪辣な情報操作というよりは、グーグルという民間企業が自社に対してなんらかの損失を---ひいては自社の株主に対して不利益を---与えると思われるサイトと距離を置くという営業的行為の側面を持つと思うのです。確かにネットの公平性という点からいえば問題があるかもしれませんが、ネット社会の公平性の担保をグーグルという民間企業一社に負わせるというわけにはいかないと思う気持ちも一方にあります。
おそらく最も問題なのは、検索エンジンの世界に有力な対抗勢力が不在で、グーグルの一人勝ちという状況が生まれている点にあるのではないでしょうか。マーケットに同列の同業者が複数存在する時に経済の自由は担保されます。A社の横暴が消費者離れを起こし、B社がとって代わる余地を作る。
しかしそうした事態を生むだけの市場参加者が検索エンジン業界にはないのではないでしょうか。
だから本書によってグーグル八分の実態について<知る>ことは、大いに意義のあることだと思うのです。A社の横暴を知ることで、B社がとって代わる余地を作る。そのことこそが、企業活動を消費者がチェックすることにつながります。
その意味で本書は、間接的に、我われネットユーザーにも厳しい眼を向けている気がするのです。
それにしてもグーグル八分とは粋な名称です。英語に同様の表現があるかどうか確かめるため、グーグルではなくウィキペディアで検索したところ、Censorship by Googleときわめて即物的に言うことが判りました。