SONY本はあまた読んできたが、最近のSONY本は虚飾に満ちているか、告発的で辟易していた(私が作ったリストマニア「SONY本」参照)。
SONY製品も大昔は愛用していたが、ここ10年、買ったSONY製品は激減したが、本書でその時社内で何が起こっていたかの一端が透けて見える。どうやら、誰か一人を戦犯にして済む問題点ではなさそうだ。
その辺りは、「「勝つためには手段を選ばず」的な志の低い企業行為の数々」、「幾多の実績を挙げた功労者や自らリスクを取る挑戦者達を極端に粗末に扱い」、「ブランドバリューにただぶら下がり、食い潰すだけの人たちが増えた結果がソニーショック」、「今のソニーは・・創業の理念や原点から外れることが増えている」などの記述から読み取ることができる。
しかし、読むのも気の毒なぐらい、何かを達成して、その後に梯子を外される歴史である。なんか七転び八起きの「島耕作」を思い出した。プロジェクト毎に拾っていくと、
・「P1プロジェクト」:マイクロソフトと組み、VOD方式のセットトップボックスなどを供給するプロジェクト。マイクロソフトと組むことに社内大反対。インターネットの普及で日の目を見ず。
・VAIOデスクトップ(1997〜):AVパソコンを指向。
考えてみれば、私も2001年にRX61を購入したが、買ったちょうどその時期に、辻野氏はこの業務から離れているようだ。
確かに、2001年時点で、マルチメディア指向パソコンとして、一定の見識を感じたのは事実。DVカムとの連携とか便利だった。
・ネットワーク・ターミナル・ソリューション・カンパニー(2001〜):名前はかっこいいが、体よく不採算部門が集められたカンパニー。
ここでコクーンが作られたようだが、容量がもう少し大きければ、私も欲しかった製品だ。使うほど商品価値が上がる製品というコンセプトだったようだ。
なお、この時期は、EVA経営が導入された時期でもあるという。なお、この経営指標導入に対する批判は、「
ソニー本社六階」に詳しい。
・ホーム・ストレージ・カンパニー(2003〜):上記とホームビデオ・カンパニーが統合。出遅れたDVD録画機での巻き返し。2003年のクリスマス商戦に間に合い、大きなシェアを取ったという。
しかし、最後には、PSX(ソニー・コンピュータエンタテインメント)に統合されるという無念な結末に。
・コネクトカンパニー(2004末〜):日本のハードウェアと米国のソフトウェアの統合部隊。最初は就任を断った。複雑系を象徴する布陣で、Itunesに追いつけ追い越せはかけ声倒れに。
・SONY辞職(2006年)
・グーグル採用(2007年)
しかし、考えてみれば、信賞必罰は組織の基本だと思うが、それが徹底できないのなら、それが可能で、外の空気を吸ってきた辻野氏を、SONYの社長として迎えることは、そんなに変なことではないような気がしてきた。
SONYは社長が日本人の方がマーケッティング上もうまくいくのではないだろうか。
なお、グーグル在籍時代の話もおもしろいが、SONY在籍時ほどの深みはないかも。ただ、時間が経って、きっと、その経験が発酵してくるのだろう。