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グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて
 
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グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて [単行本]

ジョージ ソロス , George Soros , 大原 進
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

ブックレビュー社

グローバル資本主義は開かれた社会の不完全な姿だ。時の申し子が語る重厚・壮大な時代認識
グローバルと資本主義。この2つの言葉を連ねて,その2つながらの危機を語る。そこに圧倒的な時代性を示しているのが本書である。グローバリズムもキャピタリズムも,それぞれに19世紀から20世紀前半にかけて形成期から成熟期の一つの歴史を有している。そして,そのいずれもが,20世紀という一つの時代の終末の時期において改めて脚光を浴び,改めてその意味を問われる位置づけにおかれることとなった。

グローバリズムとキャピタリズムとは,最も本源的なところにおいて相支え合うべき概念なのか,はたまた相対峙するほかにすべはない概念なのか。この深遠なるテーマに対して,地球経済を駆け巡るグローバル・キャピタルのチャンピオン,時代の寵児たるジョージ・ソロス氏が,実にオーソドックスにそして実に真摯に取り組もうとしている。

本書は,第I部が「概念的な枠組み」というタイトルが示す通り理論編であり,第II部「歴史の現時点」が現状分析編である。この構成そのものが,いかに真正面から著者がみずからのテーマに挑もうとしているかを物語っている。けれんみなく,まやかしなく,時の申し子が時代認識を語るその姿勢に好感が持てる。

著者の「概念的枠組み」とは何か。それは,著者が啓発を受けたカール・ポパーの著書「開かれた社会とその敵」から彼が読み取った閉ざされた社会,すなわち全体主義社会の本質に関する認識に基づいている。著者は,そこを出発点として,開かれた社会の存在を危うからしめるのは,実をいえば全体主義的閉鎖性の圧力ばかりではなく,「社会的結束の欠如と政府の不在による脅威」でもあるという世界観に到達する。

かくして形成された座標空間の中で,ソロス氏の世界観が語られていく。その筆致は重厚であり,哲学性に富んでいて,読みごたえがある。グローバル資本主義の諸相を股にかけるソロス流大絵巻,その起承転結に酔う読み心地は壮大だ。

ただし,異論もある。著者のいう「社会的結束の欠如と政府の不在による脅威」は,本当にグローバル資本主義にとっての最大の脅威であるのか。さらにいえば,そもそも,グローバル資本主義という概念そのものが定義矛盾であるように思える。国境を越え,国境による求心性を否定した人と物と金の動きが地球を震撼させる時代において,果たして資本主義という概念がそれ自体として成り立つのだろうか。今日の混迷を制御するために,ソロス氏が本書で示している諸提案は示唆に富んでいる。ただ,それらは,本人の言葉通り,あくまでも「グローバル資本主義を開かれた社会の不完全にしてゆがめられた形のもの」としてとらえる視点に基づいている。その視点から,果たして21世紀に向かって展望を開く発想が出てくるか。そこに疑問が残る。だが,これは,今日の心ある論者たちが一様に当面する大問題だ。そこに熱き思いと深き洞察をもって挑むソロス氏のリスク・テイカーらしき心意気に,喝采を送りたい。 (三菱総合研究所 経済調査部 部長 浜 矩子)
(Copyright2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

本書は現在の危機と経済理論全般を鋭く分析し、理論上の仮説が人間の行動とあいまって、いかにして今日の混乱に道を開いたかを明らかにする。また、市場の力に絶対的な信頼を寄せる結果がいくつかの重大な不安定要因からわれわれの目をそらさせてしまった経過と、そうした不安定要因が連鎖反応によって現在の危機―さらにもっと悪化する可能性もある危機―を引き起こした事情を解明する。

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5つ星のうち 4.0 不安定であることの認識を, 2004/10/14
レビュー対象商品: グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて (単行本)
投機家として有名なジョージソロスの著書である。

著者は、この世に完璧なものはないという。しかし、そのことはあまり認識されておらず、そのことがグローバル資本システムを脅かす可能性があると言っている。不安定であることを認め、だからこそ改善する余地が十分にあり、そのことが人類を進歩させてきたと著者は言う。

経済的にはグローバル化は実現しているが、それに見合うグローバルな政治を行うシステムがないことも問題と言っている。

この本は、賛成する・しないに関わらず、著者の鋭い考え方に触れることができ、読んだ人の世界観も広がるのではないかと思われる。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 10年後の今読んでも有益な著作―ソロスによる示唆に富む市場原理主義批判!, 2008/10/5
レビュー対象商品: グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて (単行本)
 原著は緊急出版の形で1998年に刊行されたが、それはちょうどアジアで勃発した通貨危機とその余波ともいうべきロシアでのメルトダウン(金融麻痺)の発生期に対応していた。ソロス氏の本書(2部構成)の刊行は実にタイムリーなものであった。10年後の2008年の現在においても、本書が有する価値は些かも減じていないというのが率直な読後感である。国際金融に関するやや難しい用語も登場するが、市場原理主義とそれを理論的に支える新古典派の経済理論批判をはじめ、グローバル資本主義の特質とそれが孕む深刻な問題性を、自らの実体験(投機・慈善活動)を踏まえて骨太・克明に描き出しており、興味が尽きない作品であった。コンパクトに整理された「まえがき」と「序論」も明快で、全体の読了後にふたたび眺めると理解もより深まるに違いない。

 本書で扱われている内容は多岐に及んでいるが、ソロス氏が最も主張したい点を指摘すれば、それは金融市場が本来的に不安定な存在であること(その根源的要因としての貨幣と信用、金融イノベーション)、そして「市場の力はたとえ純粋に経済、金融の分野に限ってみても、ひとたび完全な権限を与えられると混乱を引き起こし、最後にはグローバル資本主義システムの崩壊に道を開きかねない」(32頁)ということになろう。われわれは市場の自動調整作用に全幅の信頼を寄せる市場原理主義を否定するとともに、「均衡」概念に基づく主流派経済理論への批判的認識を共有する必要があると彼は説く。本書では、「相互作用性」、「誤謬性」そして「オープン・ソサエティ」という3つの鍵概念が設定されているが、それらは誤った支配的な思考様式から脱却するための道標であり、ソロス自身の社会哲学を反映した思想的概念でもある。市場的価値と社会的価値・本質的価値の区分の重要性や「理性の時代」から「誤謬性の時代」への移行の必要性、そして「われわれの時代の最重要課題は、普遍的に適用される、グローバル社会の行動規範を確立することだ」(322頁)という指摘など、示唆に富む内容が数多く盛り込まれている。

 なおソロス自身による、「私が金融の魔術師としての評価を受けていなければ、はたして読者はこの本を読んでくれただろうか」(303頁)という自問自答は面白い発想だが、私自身は何の「偏見」を持つことなく本書と向き合うことができた。投機・実務家、慈善家であると同時に、かのK・ポパーの著作に親しみそこから大きな影響を受けたソロスは、思想家・哲学者としての資質も十分に備えた多面的な人物である。10年後の今だからこそ本書をあらためて読み直す価値が高まっているとはいえないだろうか。多くの方に是非とも読んで頂きたい有益な現代的好著である。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 グローバリゼーションとは, 2000/12/19
レビュー対象商品: グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて (単行本)
この本の著者であるジョージ・ソロスは世界でも有名な投機家であるが、一番この本を読んで感じた事は、ジョージソロスは投機家であるが、第三者の目から見た非常に冷静でかつ悲観的な書き方をしていると思いました。確かに個人的で偏った意見だと思われる個所もいくつか見られましたが、かなり鋭い考察をしていると思いました。

この本の内容で感じた事は、今起こっているグローバリゼーションは決して絶対的なものではないという事。アメリカンスタンダードといわれているこのグローバリゼーションも必ずどこかでつまずくということである。その最たるものがアジア通貨危機で、その反省を全世界規模で真剣に見直して行く必要があるように思う。これからの時代は個々の国の利益ばかりを追求する時代は終わり、人が本当に幸福に暮らしていけるためには何が必要なのか、何をしなければいけないのか、そういったことを一人一人が他人事とは思わず、真剣に考えて行く必要があるように思う。この本ではそう行った事を主に学ぶことができたと思う。

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