『TPP亡国論』で“時の人”となった中野剛志氏(40歳)と3歳年下の柴山桂太氏の対談。
気鋭の若手研究者どうしの、真摯な問題意識が生き生きと伝わってきた。
経済には素人の私だが、「グローバル化」を論ずる前提となる「国際金融システム」の話
など、図式も含めて解説されており、全体的に分かりやすい内容となっている。
“亡国論”に続いて本書を読んでみたが、私自身が、中野氏の指摘する「これまでの通俗
観念」にとらわれていた一人であったことが明らかとなった。また、リーマン・ショック以
降の世界経済に漠然と不安感を抱いていたが、読み進むにつれ、世界がより重大で緊急性を
要する危機的な状況にあることを認識した。
特に、本書で知見を新たにできたのは「保護主義」の話。
「社会が市場メカニズムに破壊されないため」に「福祉国家やケインズ主義」が出てきて
「労働者」「環境」を守り、奴隷の取引や児童労働を防いできた、との「保護主義」の根拠
の話に共感を覚えた。
国際経済の話は、あまりに膨大すぎて「何が正しいか」を判断するのは困難であるが、本書
の議論が「何を大事にしているか」は十分に伝わってきた。そこには、等身大の人間の生活を
大切にしていこうとの健全な感覚があることを感じた。
いずれにせよ、TPPをはじめ、喫緊の問題を理解する上で、一読の価値があると思う。