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グローバル恐慌の真相 (集英社新書)
 
 

グローバル恐慌の真相 (集英社新書) [新書]

中野 剛志 , 柴山 桂太
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (21件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

リーマン・ショックで金融資本を救った国家が次々、危機に瀕するという恐ろしい連鎖が始まった。グローバル化のデフレ圧力で中間層が破壊され、未来への投資が停止し、民衆とエリートの対立が深まる「冬の時代」。この長く続くであろう危機、大恐慌の足音の聞こえる時代を日本が生きぬくために必要なのは、過剰な流動性を生んだグローバル化の危うさと各国の社会構造の本質まで分析する「経済思想」だ。
『TPP亡国論』で論壇の寵児となった中野剛志と気鋭の経済思想家・柴山桂太が徹底的に危機の時代への処方箋を語りつくす!

<目次>
はじめに 壊れゆく世界を生きぬくために 中野剛志
第一章  グローバル化の罠に落ちたアメリカと世界
第二章  デフレで「未来」を手放す日本
第三章  格差と分裂で破綻する中国とEU
第四章  冬の時代のための経済ナショナリズム
おわりに 歴史は繰り返す  柴山桂太

<プロフィール>
中野剛志(なかの たけし)
一九七一年生まれ。京都大学大学院工学研究科准教授。東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学より博士号取得(社会科学)。経済産業省産業構造課課長補佐を経て現職。主な著書に『TPP亡国論』(集英社新書)など。
柴山桂太(しばやま けいた)
一九七四年生まれ。滋賀大学経済学部准教授。京都大学人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。主な共著に『危機の思想』(NTT出版)など。

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: 集英社 (2011/12/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087206203
  • ISBN-13: 978-4087206203
  • 発売日: 2011/12/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (21件のカスタマーレビュー)
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107 人中、95人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 博多ムーミン トップ500レビュアー
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 『TPP亡国論』で“時の人”となった中野剛志氏(40歳)と3歳年下の柴山桂太氏の対談。
気鋭の若手研究者どうしの、真摯な問題意識が生き生きと伝わってきた。
 経済には素人の私だが、「グローバル化」を論ずる前提となる「国際金融システム」の話
など、図式も含めて解説されており、全体的に分かりやすい内容となっている。

 “亡国論”に続いて本書を読んでみたが、私自身が、中野氏の指摘する「これまでの通俗
観念」にとらわれていた一人であったことが明らかとなった。また、リーマン・ショック以
降の世界経済に漠然と不安感を抱いていたが、読み進むにつれ、世界がより重大で緊急性を
要する危機的な状況にあることを認識した。

 特に、本書で知見を新たにできたのは「保護主義」の話。
 「社会が市場メカニズムに破壊されないため」に「福祉国家やケインズ主義」が出てきて
「労働者」「環境」を守り、奴隷の取引や児童労働を防いできた、との「保護主義」の根拠
の話に共感を覚えた。

 国際経済の話は、あまりに膨大すぎて「何が正しいか」を判断するのは困難であるが、本書
の議論が「何を大事にしているか」は十分に伝わってきた。そこには、等身大の人間の生活を
大切にしていこうとの健全な感覚があることを感じた。

 いずれにせよ、TPPをはじめ、喫緊の問題を理解する上で、一読の価値があると思う。 
このレビューは参考になりましたか?
39 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ams
中野剛志氏の『TPP亡国論』も衝撃的だったが、経済思想を専門とする柴山桂氏とのこの対談もそれ以上に刺激的。いかに日本の病理が深いか分かる。読み進めると、その病理の所在そのものも浮かびあがってくる。

ふたりの見立てによれば、今回の世界的な経済危機のそもそもの原因は、自由化であり、グローバル化であったと。それにもかかわらず、危機の原因そのものを、処方箋とようとしているのが、この日本だというのだ。

アメリカ、日本、EU、中国とそれぞれの国・地域をシャープに分析を重ねた後で語られる4章「冬の時代のための経済ナショナリズム」が、「常識」を次々、打ち破っていくところは痛快だった。テレビや動画でなじみのある中野氏独特の語り口が脳内再生されて、楽しくも読める。柴山氏の議論も、視野の広さがすばらしい。対談として超一級品。

しかし、冒頭に述べたように、この若き俊英ふたりの描く処方箋とは真逆のほうに、日本も世界も突き進んでいる。他国との比較のなかで実は日本の置かれている状況はまだましなのでは、と思う瞬間もあった。けれども、その恵まれた条件を自ら捨てるような方向にわざわざ向かっているところが日本のいちばんの病理と分かってくると、戦慄し、恐ろしくなる。多くの人が早く、この一冊を読むべきだ。
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20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ふんふん トップ100レビュアー
 対談本なので色々なことが語られていますが、系統的に整理するとか細かい論証を行うというよりは、いま世界で起きている政治・経済現象について議論する上で「こういうモノの見方をした方がいいんじゃないか」という視点を提供するような内容です。新聞やインターネットで目にする経済談義のなかで「グローバル化」とか「自由化」とか「構造改革」とかいうキーワードが出てくるときに、気をつけるべき注意点は何なのかといったことがよく分かります。
 中野氏も柴山氏も、昔から『表現者』(旧『発言者』)という雑誌に記事を書かれていてよく読んでいるのですが、お二人とも、世間の政治・経済談義が大前提としている「共通のモノの見方」みたいなものを疑ってかかり、頭をひねって別の視点を見つけるアイディアマン的な書き手なのでとても面白いです。

 本書では、主に世界経済についてほんとに色々なことが語られているのですが、2人の見解はだいたい一致していて、勝手に私なりにまとめてしまうと、

(1) 健全な経済発展のためには社会の安定性が必要である。ヒト・モノ・カネがあまりめまぐるしく流動するような環境では、長期的なビジョンに基づく投資が難しくなり、産業の発展は難しくなる。イノベーションは、単なる自由でダイナミックなカオスのなかから生まれるのではない。不確実な未来へ向けた投資のリスクを吸収できるような安定性が、ある程度は必要である。
(2) 現在世界を覆っている経済危機のそもそもの原因は、グローバル金融資本主義がもたらした過剰な流動性とグローバル・インバランスにある。流動性は資源の効率配分に向かうのではなく、むしろ特定の場所に資金を集中させてバブルを生むというのが歴史的な事実であり、経済は不安定化し、人々の視野は短期的になる。
(3) 「産業」界は本来あまり高いボラティリティ(変化の激しさ)を望まず、長期的な視野で将来への計画を立てるものだが、「金融」界は投機で利益を得るために短期的な変化が続くことを望む。この両階級の利害が一致しなくなっており、いま得をしているのは金融階級だけである。
(4) 現代のグローバル金融資本主義は、「自由主義」などという麗しいものではなく、むしろかつての「重商主義」や「帝国主義」みたいなものだと思った方がよく、まったく健全ではない。
(5) 視野が短期的志向になるというのは深刻な問題で、日本でもこれから公共インフラを始めとして「長期的」な視野に基づく様々な投資が必要なのだが、そのような議論にはなっていない。団塊世代の連中は、高度成長期に先人たちが行った投資のおかげて豊かさを享受してきたのだが、自分たちが歳をとると、「公共事業なんてムダだからやめろ。それより社会保障だ」といって、将来世代の豊かさを生むための投資よりも、自分たちへの年金の支払いを優先しろとゴネている。
(6) いまの世界経済は、多くの人が考えているよりも本格的にヤバい状況にある。デフレ対策としては財政出動をせざるを得ないが、その効果も十分ではないし、80年前の大恐慌とは違って、今回は(国民統合が進んでいてコントロールの効きやすい)先進国経済のみならず、中国やロシアなど未成熟な新興国にも危機が波及していて手がつけられない。
(7) また、グローバル金融資本主義が間違っているといっても、アメリカがこれから堅実に産業を育てて輸出を増やすとか、新興国に急に健全な内需が育つということもなさそうである。各国の国民経済の構造はそう簡単には変わらない。アメリカについて言えば、おそらく金融化・帝国化をさらに押し進める方向に向かい、アメリカの金融資本を支えるために他国にたいして様々な圧力や要求を突きつけてくるだろう。
(8) いま起きているのは、単なる経済システムの一時的な不調ではなく、政治・文化・社会を巻き込んだ全般的な危機であると考えたほうがよい。この本格的にヤバい状況では、従来の専門分化した学問は役に立たない面があり、経済学に社会学や文化人類学を統合していくような、総合的で多面的なモノの見方としての「思想」を鍛えていく必要がある。

 ……というようなことが語られています。
 最後の点は面白くて、「C、コンサンプション=消費というのは、単に数字のCじゃなくて、やっぱり人間の生活習慣とか、生活様式とか、文化に密接に関係している」「マクロ経済政策というのは、もっと社会学化、文化人類学化しなくてはいけない」(中野)、「生産性の向上はどうやって起こるの?という問いに対して、今の経済学は技術進歩と答える。では、どうして技術進歩が起こるのかとなると、実はちゃんと説明できていないんです。……社会学を取り込まないと、成長のような複雑な現象は説明できませんよね」(柴山)と、何度か強調されています。

 本書の冒頭で中野氏が「こういう世界的危機、あるいは歴史的転換期においては、それまで正しかったことが間違いで、これまで間違いだとされていたことが正しいといった現象が起きるものです」と言っていますが、まさにその種の頭のひねり方を学ぶのに本書はうってつけです。対談だから話もとても分かりやすいのでおすすめですね。
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