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37 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
グロテスクでないのは誰か、グロテスクでないものは何かがわからなくなってしまう,
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レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
作中に何度か「悪意がほとばしった顔」という言葉が出てくるのだが、この作品を一言で言い表すと「悪意のほとばしった小説」ということになるのだろうか。著者に名前さえ与えられていない、語り手の“わたし”をはじめ、中心となる4人の女性の手記、手紙、日記、会話、どれもが自己中心的であり、その内容は、齋藤美奈子氏が書いているように「陰口」「つげ口」「悪口」ばかりである。しかも、それが「ですます調」で書かれているので、小説全体が異様な雰囲気となっている。 読むのが止まらない。ではなく、止めるに止めれない。そんな小説である。 著者は、この作品で読者の共感を得たいなど考えてもいないであろう。逆に拒絶されたい、あるいは置き去りにしても構わないと考えながら筆を進めたのでは、と思ってしまうほどである。 人間の心に潜む闇をこれだけ描くことのできる作家は、著者のほかに日本にどのくらい存在するのだろうか。 凄い小説を読んでしまった。そんな感じの読後感であった。
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
女性にとっての格差社会を描ききっている,
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レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
上流階級の巣食う私立女子高における格差社会は、公立高校出身の私には恐怖すら覚える内容だった。彼女たちも、自分の所属すべき場所で地に足の付いた学生生活を送れば、この小説の内容のよな結末を迎えずに済んだのでは?と思ってしまう。 男や社会への憎悪を植えつけられるプロセスは壮絶であり、壊れて行く女性たちの姿は想像を絶している。 今の時代も彼女たちには十分に男社会と写っているのだろう。 グロテスクに変貌して行く、憎悪に駆られた人々を通して、現代社会の格差の構造が垣間見られる壮絶な作品。 気軽に読める作品ではないが、作者の代表作にふさわしい重厚さを持っている
50 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
凄い小説!! まさにグロテスク。この本のサブタイトルは「悪意」だ。,
By ヤンソンス (ニューヨーク) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
読者を圧倒する小説、というランキングがあればこの小説はトップを狙える。面白い小説、あるいは推薦する小説といわれると・・・。この小説を友人に 薦めるのははばかられる。それは決してこの小説がそれに値しないからでは 無い。むしろ逆。だが、「これを読んで、よかった。」と素直に人に認めが たい、ある種の問題作だと思うから。 この本は、Q大学付属(女子)高校(私学ナンバーワンといわれる医学部を 持つ有名大学系列の学校がモデルと思われる)に在籍していた4人の女性の、 高校〜三十代後半までの生き様とを描く。植えつけられた競争社会の価値観 や劣等感などに無意識に影響を受ける彼女たちは、それぞれの方法で生き抜 こうとするが、集合的な差別、競争の中で歯車が狂って言ってしまう。 特に下巻に詳しく語られる和恵の生き様はまさに”凄惨”の一言。心の闇、 異常心理というものをここまで大胆に描き出す著者の力量にただただ脱帽 するばかり。 さらに特筆すべきは、名前すら与えられていない「わたし」が持つ悪意の 凄まじさだ。和恵が動的だとすれば、「わたし」は静的である。が、 ですます調で淡々と語る「わたし」が内在する悪意、情念ははちきれん ばかり。和恵は凄惨ではあったが自分の生き方を見つけ、全うした。 しかし「わたし」の情念は小説を通じて膨らんでいくばかりで、昇華 されることが無い。この恐ろしさはまさに圧倒的である。 東野作品に「悪意」という作品がある。が、私はこの作品こそ、 「悪意」というタイトルがふさわしいと思う。 小説の「凄さ」を改めて感じさせる作品だ。
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