登録情報
|
|
あなたのご意見やご感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
40 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
グロテスクでないのは誰か、グロテスクでないものは何かがわからなくなってしまう,
By
レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
作中に何度か「悪意がほとばしった顔」という言葉が出てくるのだが、この作品を一言で言い表すと「悪意のほとばしった小説」ということになるのだろうか。著者に名前さえ与えられていない、語り手の“わたし”をはじめ、中心となる4人の女性の手記、手紙、日記、会話、どれもが自己中心的であり、その内容は、齋藤美奈子氏が書いているように「陰口」「つげ口」「悪口」ばかりである。しかも、それが「ですます調」で書かれているので、小説全体が異様な雰囲気となっている。 読むのが止まらない。ではなく、止めるに止めれない。そんな小説である。 著者は、この作品で読者の共感を得たいなど考えてもいないであろう。逆に拒絶されたい、あるいは置き去りにしても構わないと考えながら筆を進めたのでは、と思ってしまうほどである。 人間の心に潜む闇をこれだけ描くことのできる作家は、著者のほかに日本にどのくらい存在するのだろうか。 凄い小説を読んでしまった。そんな感じの読後感であった。
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
女性にとっての格差社会を描ききっている,
By
レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
上流階級の巣食う私立女子高における格差社会は、公立高校出身の私には恐怖すら覚える内容だった。彼女たちも、自分の所属すべき場所で地に足の付いた学生生活を送れば、この小説の内容のよな結末を迎えずに済んだのでは?と思ってしまう。 男や社会への憎悪を植えつけられるプロセスは壮絶であり、壊れて行く女性たちの姿は想像を絶している。 今の時代も彼女たちには十分に男社会と写っているのだろう。 グロテスクに変貌して行く、憎悪に駆られた人々を通して、現代社会の格差の構造が垣間見られる壮絶な作品。 気軽に読める作品ではないが、作者の代表作にふさわしい重厚さを持っている
16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代女性の根本的な問題を描ききる作品,
By gao-an (茨城県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: グロテスク〈上〉 (文春文庫) (文庫)
社会的立場の高い女性には行動の自由が許される。生活に困らない収入もある。その自由が自我の肥大を生み出す。東電OL事件に興味を持って読んだ感想。本当にグロテスクである。いみじくも作中のQ女子高の木島教師が「僕たちは学校で科学的なことしか教えていなかった。もっと人間性を教えるべきだった」と悔いるように、Q女子高という小さな世界の中に進化論的なパワーゲームの世界が縮約されている。そこで育った4人のグロテスクな女たち。 この小説は悪意に満ちている。まったく歯に衣を着せないやりとりが読んでいて爽快になるぐらい。そして4人の女性とも孤独である。孤独への恐怖が4人をねじ曲げていく。 作品中、もっともグロテスクなのはやはり和恵である。自己が分裂してしまった彼女は、しだいに社会と自分、という壁を失っておぞましい怪物になっていく。なぜ高校時代の地味な彼女が変貌したのか。それは多分、ユリコの姉が言うように、自分や世間に対して、あまりにも鈍かったから。彼女の変貌を彼女なりの「成功」と呼べるだろうか。私はそれは違うと思う。彼女が摂食障害であるというエピソードはあまり語られていないが、摂食障害というのはまさに「自分」と「世間」の境界を失っていく病気だし、その根本的な原因は和恵が直面した問題と、基本的に同じである。ミツルがカルト教団の幹部になってしまった所や、容疑者チャンの身上書(彼の作り話かもしれないが)は多少演出が大仰だと思うが、チャンの住んでいた中国内陸部の貧困と日本に来てからの底辺の生活は、現代の日本で起きている「過剰と腐敗」の鏡となっている。 女は年を取るごとに「モノ」ではなく「人」になっていく。だからモノとして扱われる売春の世界では、客も本人も辛くなっていくのである。もっと「人」として輝いていく道などたくさんあったのに。私たちは和恵や「ユリコの姉」に似た部分はあるけれども決して同じにはなれない。
あなたのご意見やご感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|