そよ風のように優しく心地良いハーモニー。最近,世の中は暗い出来事が多くて殺伐としているせいか,アコースティックで心癒されるアルバムだ。キャリン・ホワイトやボビー・ブラウンなど数多くのアーティストをプロデュースする一方で,自らもアルバムを制作していた90年代前半から比べると話題に上る機会は格段に減った。ただ,もともと多忙でも良質な音楽を創り続けてきた人だけに,今日のように自らの創作活動に専念できるようになってより音楽の深みが増したように思う。
触ると壊れてしまいそうなほど繊細で甘美なハーモニーが胸に染みる「Tonight It’s Goin’ Down」,穏やかな春の陽光を思わせる柔和な「Grown&Sexy」,そよ風のように優しくスウィングする流麗なバラード「Mad,Sexy,Cool」と冒頭の3曲が素晴しい。
終盤にもハイライトが。美しくも物悲しいアコースティック調の「The Loneliness」,素朴だが穏やかで温もりのある「She」,ファルセット・ヴォイスを駆使した夢見心地な「The Getting’ To Know」のバラード3曲だ。エンディングを飾る唯一のアップテンポ「She’s International」もナイト・クルージングといった趣のクールなナンバーで面白い。
昔からのBabyfaceファンはもちろん,「ベビーフェイスって誰?」という最近のリスナーにもお薦めの秀作。