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グレート・ギャツビー (新潮文庫)
 
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グレート・ギャツビー (新潮文庫) [文庫]

フィツジェラルド , 野崎 孝
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (32件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 262ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1989/5/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4102063013
  • ISBN-13: 978-4102063019
  • 発売日: 1989/5/20
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (32件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 翻訳比較, 2011/9/21
レビュー対象商品: グレート・ギャツビー (新潮文庫) (文庫)
 一編の外国小説に対して、翻訳が何種類かあるのは嬉しいことです。ですが一方で、どの訳書を読めばいいのか迷ってしまうこともあるのではないかと思います。
 The Great Gatsbyは私の好きな小説で、原書と何冊かの邦訳書を持っているので、どの翻訳を読もうか悩んでいる方の参考に、冒頭部分を抜き書きしてみたいと思います。
 
○The Great Gatsby(原書) Scribner; First Scribner Paperback Fiction Edition 1995
In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since.
  "Whenever you feel like criticizing anyone," he told me,"just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had."
 He didn't say any more but we've always been unusually communicative in a reserved way and I understood that he meant a great deal more than that.

○『華麗なるギャツビー』 大貫三郎訳、角川文庫、1957年
 今より若く心が傷つきやすい若者だった時に、父が忠告してくれたことを、その後ずっと繰りかえし考えつづけてきた。
「ひとのことをとやかく、批評したくなっても」と、父は言った。「ひとなみすぐれた強みをもっている人なんて、めったにいないんだってことを、忘れるんじゃないよ」
 父はそれ以上語らなかったが、父も僕も口数がすくないわりに、いつでもおたがいの意志が、通じすぎるくらいよく通じたから、父の言ってることには、もっと深い意味があるんだろうと思った。 

○『グレート・ギャツビー』 野崎孝訳、新潮文庫 改版・改題、1989年
 ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけれど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。
「ひとを批判したいような気分が起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ」
 父はこれ以上多くを語らなかった。しかし、父とぼくとは、多くを語らずして人なみ以上に意を通じ合うのが常だったから、この父のことばにもいろいろ言外の意味がこめられていることがぼくにはわかっていた。

○『グレート・ギャツビー』 村上春樹訳、村上春樹翻訳ライブラリー:中央公論新社、2006年
 僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」
 父はそれ以上の細かい説明をしてくれなかったけれど、僕と父のあいだにはいつも、多くを語らずとも何につけ人並み以上にわかりあえるところがあった。だから、そこにはきっと見かけよりずっと深い意味が込められているのだろうという察しはついた。
 
○『グレート・ギャッツビー』 小川高義訳、光文社古典新訳文庫、2009年
 まだ大人になりきれなかった私が父に言われて、ずっと心の中で思い返していることがある。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれてるわけじゃなかろう」
 父はそれしか言わなかったが、もともと黙っていても通じるような親子なので、父が口数以上にものを言ったことはわかっていた。
 
 冒頭の数行だけですから、あまりお役に立たないかもしれませんが、ある程度の違いは感じていただけるのではないかと思います。私は野崎孝訳が好きなのですが、もちろん好みは人それぞれです。お好きな翻訳を選んでお読みになってください。
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43 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「この世の中の人がお前のように恵まれているわけではないことを、ちょっと思い出してみる, 2005/7/10
レビュー対象商品: グレート・ギャツビー (新潮文庫) (文庫)
いわずと知れた「失われた世代」の作家フィッツジェラルドの代表作。
はっきりとした起承転結、絡み合う人間関係、伏線と予定調和、そして状況描写→心理描写→風景描写と続く叙述――
いわゆる普通の小説らしさをきっちり備えたこの本の傑出したところは、印象的な風景描写と物語との相関性、そして視点人物にあると思います。

多くのシーンが、あらゆるものが金色に染まる夕刻から始まり、喧騒と孤独な夜へ、そして全てをあからさまにする朝へと描写される様が
そのままストーリー全体を象徴しています。その描写一つ一つがとても美しくも儚い。例えば、
「夕映えの色は褪せ、彼女の面からも、黄昏に楽しく道路から去っていく子供のように、あとに心を残しながら刻々と光は消えていった」

この小説の最大の特徴は視点人物のニック・キャラウェイの存在にあります。
彼の冷静でいて達観したかのような叙述が特徴的で、また彼が経験を重ね成長するにつれ、事件や人物に対する印象が少しずつ変化していくのも読み取ることができます。
ひと夏にして豪華・壮麗と虚栄・孤独を目の当たりにしながら、最後に彼はこの父の言葉の意味を知ることになります。最後まで読んでみて下さい。

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18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 夢の儚さを対岸で見た物語, 2007/9/26
レビュー対象商品: グレート・ギャツビー (新潮文庫) (文庫)
「彼女の声、それは金にあふれた声だった。高く低く波動する尽きせぬ魅力があった」

デイズィという女性を表現する、有名な一文。
ぎらぎらの野望で短い人生を駆け抜けたぎギャツビーの原動力となったのは、この女性だった。

結局デイズィという女性は単なる愛情の対象としての女性ではなく、上流階級の象徴であり、ひいてはギャツビーにとって絶対かなえなくてはいけない『夢』であった。それさえ手に入れる事ができれば全てを手に入れられる、約束された土地。
しかし、『夢』は実態のない、コントロールできないものだった。

クライマックスにくるまで、デイズィに対するネガティブな描写はでてこない。
怠惰で派手でぜいたくな、社交生活を繰り広げる上流階級の人々の様子に読者は虚しさを覚えるだろう。しかしその中で唯一、デイズィは常に鈴の音のような声で、その世界の先にきらきらしたものが待っているかのように、ギャツビーを魅了する。

しかし、ギャツビーの命があっけなく奪われた後葬式にデイズィは電話のひとつも花の一輪もよこさない。ニックは彼女の本質を次のようにみている。

「トムもデイズィもー品物でも人間でもを、めちゃめちゃにしておきながら、自分たちは、すっと、金だか、あきれるほどの不注意だか、その他なんだか知らないが、とにかく二人を結びつけているものの中に退却してしまって、自分たちのしでかしたごちゃごちゃの後片付けは他人にさせる・・・」

ギャツビーは、デイズィの家の桟橋の突端に輝く緑色の灯をみた。その緑色の灯こそ、手にすることのできないデイズィという女性そのものだったように思える。

この物語は、夢を追わずにはいられない人間の性とその美しさを描く一方、夢につきものの、そのはかなさと虚しさを描いている。読んだ後切なく、なにか実体のないものに郷愁を覚えるのはそこに普遍性を感じるからだろう。
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