本書は、グールドと交流のあった人々に実際にインタビューしてそのこから得られた証言を元に構成されていて、これまでのグールド像を壊して、新たな一面を提供しています。
もともとグールドの私生活について書かれているものは少ないのですが、特に女性関係については、ほとんど触れられているものはありません。グールドは全く性には興味がなかったと思われていたようですが、もとより潔癖症から人と握手することさえ忌み嫌う男が性交渉という肉体の接触を伴う行為をすることはありえないというのが、一般的な見方であり常識化しています。しかし、本書ではグールドの衝撃的な行為の目撃談によってそれがはっきりと否定されています。ワイドショー的な好奇心を満たしてくれることは確かですが、それだけにとどまらずより深くグールドの喜びや苦悩を感じることができます。また、女性関係は時系列に進行する形で書かれているので、レコードが録音された時期に照らし合わせれば、曲目の選択や演奏に影響を及ぼしたかもしれない女性がわかります。読後はグールドをこれまでより身近に感じられるように思いました。