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登録情報
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グールドのピアノはどうして対旋律があれほど生き生きしと響くのか。どうしてベートーベンやモーツァルトを奇抜なスタイルで演奏するのか。なぜ北の国の作曲家を多く取り上げるのか。ステージ活動を止めた理由はなにか。・・・こういった疑問を解消する手がかりが、この本には溢れている。
それにしても著者の情報を集め整理する辛抱強い仕事には本当に頭が下がる。そして分量が多いだけでなく、グールドを語る距離も誉め過ぎず、冷たくなり過ぎずで非常にバランスが良い。グールドの残した録音に関しても、時には手厳しく、純粋な音楽評論としても楽しめる。
このような、量、質、バランスがとれた著作は日本ではほとんどお目にかかることが出来ない。原書が世に出て10年以上経ってからだが、翻訳本が出されたことに感謝している。
グールドの芸術はその膨大な録音と共に、こういった本の存在によって生き長らえていくのであろう。
この本の訳者であり、グールド研究の第一人者である宮沢淳一氏によって、訳註の追加や巻末の素晴らしい資料、ディスコグラフィなどは最新のものに書き改められ、没後20年を飾るのにふさわしい重厚な一冊となった。
この本の中に生きているグールドは、自身の体調に悩み苦しみまた楽しみ、独特な方法でおりあいをつけながら、ピアノのみならず音楽、映像、思想など幅広く独自の路線で当時の人々を圧倒し魅了していく。読み手までが、グールドに会って追体験している錯覚すら覚える。
グールドが「死後の人生までが忙しく、人気がある」秘密の一つに、数多く残ってる映像と録音があげられる。が、この本には「グールドの人間性」と彼を愛した人々の人間としての品格に触れる事柄が多々織り込まれている。グールドの深い部分での魅力はそのあたりにもあるのかもしれない、と思わせるちょっと目からウロコの名著である。
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