グリーン・ニューディールという声が国内でも聞こえるようになって、1年近くたつが、具体的な動きがさっぱり見えてこないというのが、日本の現状だ。そもそも、グリーン・ニューディールが何か、理解している人が少ないのではないか。本書の著者である井熊氏はそのように述べる。
本書は、日本総研創発戦略センター所長による、日本へのグリーン・ニューディール促進に向けたメッセージだ。ここで示されるのは、海外では、脱化石燃料に向けた新しいインフラの構築に向けて、積極的に活動しているということ。それは再生可能エネルギーの開発であり、鉄道網の再構築であり、あるいはスマートグリッドだ。そこには、各国・各企業の指導者がきちんとした将来像を描いているということが背景にある。ひるがえって、日本ではどれだけの人が、2020年、2050年の社会をきちんと想像し、そこにキャッチアップしていくということを考えているのだろうか。まさにその点こそが、日本では具体的な動きが見えてこないという理由ではないだろうか。
あらためて、本書が主張する、新しいエネルギーインフラとエネルギーサービス、あるいは交通インフラについての提案は、多くの読者にとって、十分な刺激になるものだろう。