新宿の映画館で公開時に鑑賞し、CDジャケットサイズのケースに入ったDVDも発売直後に購入、そして Blu-ray を今回購入して数度目の鑑賞。美しい映像やヨーヨー・マの印象的な音楽は Blu-ray ならでは。第73回アカデミー賞で4部門を受賞した傑作だが、10年経って見てみても細部まで丁寧に作られた作品である。
改めて見てみると、監督のアン・リーが出演者たちの魅力を十分に理解しており、それぞれが活かされていることがよく分かる。アクションが得意ではないチョウ・ユンファにはスピード感のある激しいアクションではなく、貫禄あふれる大きなアクションを用意し、対照的にアクションの得意なミシェル・ヨーにはあらゆる武具を持たせて見せ場を作り、「初恋の来た道」の翌年に参加したチャン・ツィイーには勝ち気ながらも可憐な笑顔がまだ残っている。特に「初恋の来た道」でチャン・ツィイーに惚れ込んだ私にとっては、ひさびさに再会した初々しいチャン・ツィイーだった。
また、アクション映画でありながら、ゆったりとしたリズムも特徴的。アクションになると一転してスピーディになるのだが、チョウ・ユンファやミシェル・ヨーらの会話のテンポから歩く速さに至るまで意識的にスピードを落として演出しており、それが作品全体に安定感と重厚感をもたらしている。有名な竹林でのワイヤーアクションの美しさも、のちのアクション映画に大きな影響を与えたが、いまだにこの作品を超えるものはないように思う。アン・リーのイメージをアクション監督のユエン・ウーピンが見事に実体化して見せたというところか。
それにしても、東洋思想が根底に流れるこの作品をアメリカ人が高く評価したのは驚きでもある。オープニングこそ西部劇のテイストであるが、あのラストで納得するのだろうか。