最初は本の分厚さにちょっと圧倒されます。グリーンランタンは スーパーマンやバットマンの様な超有名ヒーローでは無かったがために、ライターにとって物語を考える自由度が高かったおかげで、過去に秀作が多いことで有名なのですが、本作は ヒーローが現実の社会問題と向き合えばどう対応するのか、というコンセプトの内容です。
ドラッグや環境破壊や人種差別など、現在もアメリカが抱える問題を取り上げていて、なかなか興味深いストーリーでした。内容を熟読したくなるテーマなだけに、邦訳の価値のある1冊だと思います。まだ新人時代のニールアダムスのアートもとても魅力的です。ただ、それぞれの問題の核心に深く切り込んでいるかというと随分浅く、ぬるい感は受けます。しかしコミックでこうした問題を取り上げるパイオニアな作品であった事を考慮すると やむを得ない所でしょうね。マーベルでも同時期のスパイダーマンで、ハリーオズボーンがドラッグに溺れるエピソード(実質的には本作よりスパイダーマンの方が先に出版)があり、コミックが有害視された社会に対して業界全体の機運がそういった方向に向かった時期だったのでしょう。こうした作品の土台無しにして、ウォッチメンやダークナイトリターンズは生まれなかったと言えます。
グリーンランタンの邦訳本としては、「リバース」が余りにもハル・ジョーダンへの愛にあふれた名作だっただけに、本作は初出が古いだけにやや不利な印象を受けますが、この作品も、グリーンランタンの(引いてはアメコミの)歴史的名作のひとつであることに変わりないと思います。映画化を機会にこうした名作群が邦訳で読めるのは、とても良い事だと感じます。他にもグリーンランタンにはアートの優れた名作も沢山あり、JLAとしても「JUSTICE (ABSOLUTE JUSTICE) 」なんかは是非邦訳して欲しいですね〜。