この特異なピアニストは、作曲家/音楽家の孤独というものに共感・共鳴・沈入できる/分け入ることのできる独特の感性を持っている。そのおかげでショパンの演奏などは、とてもシリアスな--聞き手が思わず背筋を正す--ものになっている。
グリーグはみんな(私も!)あのピアノ協奏曲しか知らない、孤独な作曲家だ。このアルバムの曲集と演奏の音には、この作曲家の「北欧の冷たい大気の中の孤独」といったものを感じる。
メジューエワのピアノの高音は、インターネット上で「チェレスタの音、高級なグラスに氷が当たる音、…」と評した方がおられるが、硬質で澄み切っていて透明できれいに、キーーン、カーーン、コーーンとまっすぐ伸びる。
まさに、「北欧の冷たい大気の中の孤独」を、自己の孤独としてもコーーーンと響かせることのできる、ピアノの音なのである。良い意味で、とてもきびしい精神の持ち主であると感ずる。