「グリム物語」の編者グリム兄弟の子孫が現代アメリカの思い切り変テコリンな町を舞台に大活躍する全米ベストセラーとなったメルヘン・ミステリー・ファンタジーの第1弾です。著者のバックリー氏はコメディアン・ロックバンドのリードヴォーカルを経験した後にTV業界の裏方の道に進み、やがて作家になって大当たりされたそうで、国は違っても今のお笑いブームの日本の若手達にとって励まされるサクセス・ストーリーのお手本だなあと思いました。
本書のダブル・ヒロイン、サブリナ(もうすぐ十二歳)とダフネ(七歳)のグリム姉妹は、両親が失踪し孤児院で暮らしていたが、ある日おばあちゃんと名乗る老婦人が現われ引き取られる事になる。二人は〈フェリーポート・ランディング〉という不思議な町に連れて来られ、人里離れた森の中の不気味な家に案内される。老婦人レルダは一族が有名なグリム兄弟の子孫で、町に住むお伽話の住人達を見張りながら代々探偵業を営んでいると説明する。素直に何でも信じる妹ダフネに対して姉のサブリナは疑惑を抱き隙あらば逃げ出そうとするが、やがて突如現われた巨人にレルダ達がさらわれ姉妹は否応なしに事件に巻き込まれて行く。
本書の魅力は多彩なキャラにあってレギュラー陣としては、ひ弱そうな同居人の老人ケイネス氏(正体は最後まで読んでのお楽しみ)、忠実なグレートデーン犬のエルヴィス、「自称悪者の中の悪者」だが憎めない悪戯妖精のパック、シンデレラでお馴染みの魔法の鏡に空飛ぶじゅうたん、怪し気なチャーミング市長、ブタに似たハムステッド保安官etcです。今回のゲストは、「ジャックと豆の木」のヒーロー、ジャックと恐ろしい巨人達で無邪気な元のお話がガラリと変わりダークな味つけで料理されています。冒険の楽しさに加えミステリーのサプライズも備えたシリーズは滑り出し上々で、次は一体どんなお伽噺のキャラが出て来るのか楽しみに待ちましょう。