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舞台はコンピューター上に存在する、今は放棄された仮想リゾート。サイバースペースものとしては、この舞台自体はそれほど斬新なものではないが、現実の人間=ゲストが千年間訪れない世界で、ゲストを歓待するために存在するAIたちを描くという設定が秀逸。AIたちは、自分がAIであることも、この世界が何らかの理由で放棄されていることも認識している。それゆえに、この穏やかな、停止した世界は、美しいと同時にどこかもの悲しい。その平和な世界に「蜘蛛」と呼ばれる存在が、突然攻め入ってきて、AIたちと「蜘蛛」の戦いがストーリーの中心となる。
この物語は残酷だ。AIは次々と「蜘蛛」に殺されていく。とびきり残酷なやり方で。最大限の恐怖と苦痛を与えられて。そしてAIたちが追い詰められていくうちに、ゲストの歪んだ欲望をぶつけられるこの世界そのものが、実はひどく残酷なものであることが浮かび上がってくるのだ。
しかしまた同時にこの物語は美しい。世界観を支える様々なアイデアは、非常に美しいイメージを喚起させる。残酷な世界の中で、語られるAIたちの心情も繊細だ。相当に救いのない話であるのに、その読後感はさわやかである。
作者はあとがきで「清新であること、残酷であること、美しくあることを心がけた」と語っているが、まさしくその通りの作品。
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