ジョン・フランケンハイマーの60年代の大ヒット作が、DVD化を飛び越えていきなりの初BD化。
骨太な男性アクション映画のスマッシュ・ヒットを打ち続けたフランケンハイマーだが、不思議と未だDVD化されず、陽の目を見ない作品も多い。
今作など、そのフィルモグラフィーの中でも娯楽色の強い大作なだけに、何故今まで待たされたのか分からないが、まずはめでたいと言っておきたい。
で、この映画の見処は何か、と言ったら、それはもう、冒頭のモナコのF1グラン・プリの凄まじさ、これに尽きる。
聞く処に依ると、フランケンハイマーは、前作「大列車作戦」撮影時、モナコでの実際のF1を観て、そのパワフルで命懸けな男の闘いに魅了されてしまい、即、映画化に向けて、構想を練ったらしい。
当時の最先端のF1カ―を20台以上買い取り、モナコのレーシング・シーンを撮る為、現地で長期ロケを行った、と言う事は、つまり、モナコ中心部の公道を1週間以上閉鎖して撮影してしまったと言う事だ(笑)。
「RONIN」のレビューでも書かせて貰ったが、何しろ、映画監督になっていなかったら、カーレーサーになっていたと断言するほどのスピード狂である。車体にシネラマ・カメラを搭載し、ドライブ感溢れる映像を、壮絶なクラッシュ・シーンも盛り込みながら、マルチスクリーンの多用やダイナミックなカメラ割りを駆使して、見せる魅せる。
かって、ハードボイルド作家の矢作俊彦が、今作をテアトル東京の70m/mの大スクリーンで観た時、車を運転する人間は、鑑賞後、みな右足を引きずって劇場を出てきた、それは、その臨場感溢れるスピード感覚に、観客が、思わず衝動的に、右足でありもせぬブレーキを踏み続けてしまったからだ、との逸話を語っていたのが懐かしい。
ジェームズ・ガーナー、イブ・モンタン、エヴァ・マリー・セイントら欧米のスターたちに混じって、三船敏郎も参加。ハリウッド映画で、恐らく初めて、日本人としての気概と誇りが描かれた映画じゃないだろうか。
タイトル・デザインの名手ソウル・バスに依るクレジット・タイトルは、バスの輝かしい仕事歴の中でも代表的な作。以前、「ソウル・バスの世界」のDVDの中で、今作のタイトルが紹介されたのを観て、いつか、本編もソフト化される事を夢想したものだが、遂に、ようやく、ですね。
それにしても、「フィクサー」や「セコンド」を商品化する気概あるメーカーはいないかなぁ。