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グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話
 
 

グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話 [単行本]

セス・シュルマン , 吉田三知世
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

電話発明者をベルとする従来の電話特許史をくつがえす、新たに公開されたベルの研究
ノート。ノートの解読、特許裁判での証言の詳細な解析と推理で電話特許の謎に挑ん
だポピュラーサイエンス読み物です。従来、アレクサンダー・グラハム・ベルが数時
間の差でイライシャ・グレイよりも先に特許を出願し、発明者と認められてきたが、
実はベルはグレイの出願日時を事前に知っていたとか、グレイの出願書類のコピーに
より送話器の課題を克服したとかの、新しい事実の可能性を推理します。
これまで公開が制限されてきたベルの研究ノートによると、ベルは申請後もさまざまな試
作機で実験を繰り返したがすべて失敗。それが2月26日から3月7日までのワシントン訪問後、
突然、発明に成功しました。この発明品はグレイの特許申請書類にあった電話
機のスケッチと酷似しており、長年、疑念が持たれる原因となってきました。著者は、
ベルがワシントン訪問の際、後援者の弁護士らの協力で書類をのぞき見たとします。
その証拠として、研究ノートに残された電話機の図が走り書きで、発明の具体的な経
過がノートに記されていない上、ベルも経緯を明らかにしなかったことなどを挙げて
います。研究ノートの2月25日から3月7日のあいだの12日間の空白に秘められた
謎を追いかけるノンフィクションミステリーです。

内容(「BOOK」データベースより)

電話発明者をベルとする従来の電話特許史をくつがえす、新たに公開されたベルの「研究ノート」。ノートの解読、特許裁判での証言の詳細な解析と推理で電話特許の謎に挑むノンフィクションミステリー。ワシントン・ポスト紙批評家選定本(2008年)。

登録情報

  • 単行本: 368ページ
  • 出版社: 日経BP社 (2010/9/23)
  • ISBN-10: 4822284395
  • ISBN-13: 978-4822284398
  • 発売日: 2010/9/23
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ネモ トップ100レビュアー
レビュータイトルに使った“栄光なき天才たち”は、1980年代後半に「ヤングジャンプ」に掲載された作品のタイトルである。この、マンガ偉人伝の第1回で取り上げられたのが、本書のもう一人の主役イライシャ・グレイであり、電話の発明に関する特許出願のことであった。それを読むまで、私はグレイの存在を知らなかった。そして、本書を読むまで、グレイを「時間差」に泣いた人だと思ってきた。
なお、「たち」という複数形をそのまま使ったのは、本書で明らかにされるように、グレイ以外にもあまり知られることのない電話にかかわる発明家、そしてベルとグレイの“物語”を研究した人々を含めるからである。

著者は、当初はベルとエジソンについて調べるつもりで、ベルが残したノートをオンラインで調べ始める。そこで、特許出願前後のベルの行動に不信を感じ、グレイがほぼ同時に出した特許出願書類を調べる始める。驚いたことにそこには、ベルのノートに書かれた図面と同じものをあった。どうして、ほぼ同じ図面が書かれているのか? 著者はエジソンを傍らに置いて、今までの研究成果にとらわれることなく、電話の発明、そしてベルという人物を追い始める…

最初に見出されたのは、決定的とも言える証拠の一つだが、それだけですべてを説明できない。そこで、ベルの生涯、そして伴侶となったメイベルをめぐるエピソード、電話の発明史を丁寧に調べ、明らかにしている。また、ベルとグレイの法的な争いを改めて掘り起こし、忘れ去らている当時の論争も紹介している。さらに、電話の原型を作り上げたといっても過言ではないフィリップ・ライスについてかなり詳しく描かれている。なお、歴史研究の方法論などについても、様々なことが理解できた。

極めてスリリングで、最後まで飽きることなく読むことができた。
ただ、終盤部分では、ベルにある種の“悲しさ”を感じてしまう。
功なり名を遂げ、最愛の伴侶を得ていたが、本心はどうだったのだろうか?
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By naichi トップ500レビュアー
「ネットワークサービス」、「スタートアップ」、「盗作騒動」、「裁判沙汰」と聞けば、何を思い浮かべるだろうか?映画『ソーシャル・ネットーワーク』のことではない。これらは全て、ソーシャルメディアの元祖ともいうべき「電話特許」をめぐる、発明家グラハム・ベルの話なのである。本書は従来の通説を大きく覆す、1867年における「電話発明の真相」を追いかけた、ノンフィク・ションミステリーである。

「ワトソン君−ちょっと来たまえ」。この呼びかけによって誕生した電話の「達成の瞬間」は、発明の歴史の中でも最も良く知られている話である。さらに、特許については、同日に別の人物からも内容の重なりある出願がなされたのだが、ベル・グラハムの方が二時間早かったため、取得することができたという。その二時間遅れで英雄になりそこねた男の名は、イライシャ・グレイ。本書のもう一人の主人公である。

著者は、サイエンス・ライター。発明家の研究を行っている際に、全くの偶然からグラハム・ベルの特許取得の経緯に不自然な点があることに気付く。グラハム・ベル自身のノートを辿っていくと、全く不自然な流れで、発明の肝となった「液体送信機」に関する記述が加わるのだ。そして、同じ記述はイライシャ・グレイのノートからも見つかる。そして、そこから著者の真相を求めた物語が始まるのだ。著者の研究シーンと、ベル・グラハムの研究シーンが交錯しながら、電話線のように細い一本の糸をつなぎ合わせていく描写は迫力があり、目を離せない。

著者の結論はあくまでも仮説にすぎないが、特許取得に関しては、某かの不正な行為があったのではないかと主張している。仮にそれが事実だとすると、何がそこまでして彼を突き動かしたのか。それは、グラハム・ベルとその周囲が、電話という技術の背後に潜む、商業的な可能性について正しい認識を持っていたということなのだ。テクノロジーによって変化する市場を、技術的な見地からの視点だけでなく、文化系スキル、中でも論理的な思考によって裏付けられた分析で突き進めるというのは、百年以たった今の時代にも効力を発揮するスキルなのである。

それにしても、歴史とは非常に危ういものである。その時代、その時の権力者の都合により、歴史認識とは常に塗り替えられてきたということを、我々は忘れてはならないのだ。グラハム・ベルは、彼自身が設立した会社が後にAT&Tという大企業になり、自分の名声がここまで大きくなり神格化するとは思ってもいなかったであろう。しかし、死後の名声と引き換えに、彼が生前、罪悪感を抱いたまま日々を送っていたとしたら、それもまた悲劇である。
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By 左党犬 トップ500レビュアー
 電話といえばグラハム・ベルが発明したもの、「ワトソン君、ちょっと来てくれたまえ」が第一声となった電話開通の瞬間、これは米国だけではなく、日本も含めて世界中で "常識" となっている発明物語のひとこまだ。

 ところがこれが真実ではなかったということになれば、いったいどうなるだろう。著者自身、この物語がもしかしたら真実ではないのではないかと疑問を持ち始めた瞬間から、当惑にみちた思いがなかなか払拭できなかったようだ。そりゃそうだろう、電話のベル(bell)と同じつづりのベル(Bell)であってこそ、電話発明の物語にふさわしいのだが、これはほんとうの発明者であるグレイ(Glay)であったとしたら・・・。

 米国では巨大企業 AT&T はグラハム・ベルの特許がベースになってできたベル・テレフォン・カンパニーがその出発点にある。ベル研究所を有する、この巨大企業の米国経済社会にしめてきたプレゼンスの大きさを考えれば、グラハム・ベル以外に電話の発明者がいたというストーリーは当然のことながら容認されざるものであっただろう。著者以前にもグレイの名誉回復を図るべくさまざまな試みがあったのにもかかわらず、本書の出版後も現在にいたるまで歴史の書き換えが行わるように見えないのは、ある意味では仕方がないといわざるをえないのかもしれない。

 本書は、工科大学MITのディブナー研究所という、科学技術史専門の研究所で一年間の研究生活を送ることになったジャーナリストが、電話の発明者ベルと発明王エジソンについて調べ始めたところ、ふとしたことからベルの電話発明にかんする疑惑を知ったことから始まる物語だ。著者自身の真相探求と発見のプロセスを、ベルによる電話 ”発明” とパラレルに描いた推理小説のようなノンフィクション作品である。

 技術史においては発明品である技術とその製品のみならず、特許出願制度が濃密にからんでことを考慮にいれなければならない。知的財産である技術を特許という制度で守ることによって、技術をカネに替える仕組みを保証しているのが資本主義である。ここにこそ、「グラハム・ベル空白の12日間の謎」のすべてが隠されているのだ。発明家ベルの思惑とは別に、その特許出願にかかわっていた、カネにたいする嗅覚の鋭い弁護士こそ、ベルの婚約者の父親なのであった!

 本書は人物を中心とした歴史真相探求ものであり、また発明そのものと知的財産を保護する特許出願制度、技術の商業化と一般への普及、そして特許をめぐる法廷闘争もまたその主人公である。ドキドキしながら読める、スリリングな技術史の本としてぜひ薦めたい。歴史のもつ醍醐味を十分に味あわせてくれるエンターテインメントにもなっているすぐれたノンフィクション作品である。
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