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グノーシス主義の思想―“父”というフィクション
 
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グノーシス主義の思想―“父”というフィクション [単行本]

大田 俊寛
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

伝統や権威に反逆するもうひとつの“知”のかたちとして、心理学者ユングやポストモダンの思想家など、多くの知識人を魅了してきたグノーシス主義。しかし彼らの理解は、おのれの空想や独善を仮託した蜃気楼にすぎなかった。虚妄の解釈を排して、歴史の流れを大胆につかみ、テキストを細心に読み解くとき、“父なる神”の真の姿を求めて進化したグノーシス主義の発展と崩壊の軌跡がはじめて明らかになる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大田 俊寛
1974年生。専攻は宗教学。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、埼玉大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 280ページ
  • 出版社: 春秋社 (2009/11)
  • ISBN-10: 4393332989
  • ISBN-13: 978-4393332986
  • 発売日: 2009/11
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By kohhy
形式:単行本
グノーシズムはローマ帝国の盛期、2、3世紀に現れた世界の成り立ちを捉えんとする神学的営みである。後にはキリスト教正統派から退けられ、弾圧も受けた。そのためグノーシズムに関する記録もあまり残ってはいないらしい。幾つかの断片的文書から実態に迫るしかないのが現状だ。そうして浮上してきたグノーシズム像は、一見、荒唐無稽な神話を繰り広げているように見える。しかし、その思弁は以外と知的で、著者はラカンの心理学を引き合いに出している。さらに、グノーシズムにはプラトニズムが大きく影を落とし、そのため虚無的に捉えられていた。世界の原点自体が、疎外された虚像になっていると著者は指摘する。ニヒリズムを抱えつつ、神を目指す思想は、迫害を受けなくとも行き詰まっていたのかも知れない。
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16 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
早速読みました。難解なグノーシスの由来がわかりやすく読め、さらに古代神話、精神分析学、近代哲学の
思想に垣間見られるグノーシスの思想を横断的に解読することでその全体像がさらにつかみやすくなっている。
近年、アニメや漫画でとりあげられることの多くなったグノーシスの思想だが、その原点を読み返す意味でも
面白かった。またアニメや漫画などでは、グノーシスがいかに誤解にあふれて解釈されているかがよくわかる一冊だった。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
今まで国内で「グノーシス主義」研究を行ってきた権威たちの研究方法は間違っていたと著者は指摘した上で、グノーシス主義の文献学・歴史学に実証主義を使い新たな考察を行っている貴重な内容です。

「序章」を読み、著者の研究スタイルが恐らく聖書・文献学者Bart D. Ehrmanや田川建三の様なものを目指しているのだということが感じられ、とても好感を持ちました。文献学・歴史学にロマン主義の研究・思想家を取り入れる事はファンタジーを生み出してしまう事に繋がり、歴史・宗教・文献の理解を歪曲してしまう事になると、ロマン主義的思想家・中沢新一とユングのグノーシス理解について著者が真摯に指摘する、この行は誠に的を射ているものだと感じ、とても好感を抱きました。

『(中沢新一の著作などは)容易に想像がつくことと思われるが、…口当たりの良いファンタジーにすぎず、まともな思想研究や宗教研究の名に値するものではない。中沢のグノーシス論もその例に漏れず、グノーシス主義に関して実際には氏がほとんど無知であり、…自分勝手な連想を繰り広げたものに過ぎない…』(p.18)

『また、ロマン主義的なグノーシス論の「元祖」と言うべきユングの研究については、…その内容はあえて言うなら「でたらめ」の一語に尽きる。』(p.19)

上記を踏まえた上で本書を一般的な読者にも理解できるようなものとする為に地中海世界の思想(文献・文書)を要約細かく説明しているので、グノーシスを全く知らない人でも読めるものに纏められています。横断的に解説される思想は、プラトン形而上学、新プラトン主義の神秘哲学、ストア哲学、アレクサンドリアのフィロン、オリゲネス、エイレナイオス、等々。こうして列挙する程、グノーシスを解説する事がどれ程困難なものか分かります。ただ、これだけの物を300頁に纏める事が出来たのか、やや説明し切れていない部分も恐らくあると感じるので、これからの研究も期待します。
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