1965年のある日。
ちょいとイカれた(そして、いかした)、米軍放送のロケンロールなDJ野郎が、新任地サイゴンに降り立った―――。
ロビン・ウィリアムズという俳優に、この一作でオレは一気にハマった気がする。そして、個人的にはこれがひとつのピークだったようにも感じている(ピーター・ウィアー監督との『いまを生きる』、オスカーに輝いた『グッド・ウィル・ハンティング』なども佳作だが、彼は演技者として、おもに相手の芝居を受け止める側に廻っていた感じだったし…)。ここでもロビンのキャラは十分立っているが、彼ひとりが目立つのではなく、ロビンのお守り役の同僚を演じた(のちに監督業にも進出する)フォレスト・ウィティカー、可憐なヒロインを演じたチンタラ・スカパタナ嬢-正しい!発音は「チンタラー・スカパット」、との由。現在も活躍中の、タイの女優さん-ら、脇にもうまい人が揃い、さまざまな出来事で織られたタペストリーのように、多くの登場人物によるアンサンブルが、実にうまくいっている。
90年代初頭の湾岸戦争や、同時多発テロを経て、世界情勢がきわめて微妙なバランスの上にある今からすると、80年代後半に、戦争への声高ではないひそかな異議申し立てを含んだこの佳作を、ハリウッド、それも(あの『パール・ハーバー』とは別会社だが同じ系列の)ディズニーの実写部門が送り出し、しかもそれが全米で大ヒットしていた…という事実は、なかなかに興味深い。
なお、DVDとして画質は良好だが、映像特典や吹替音声の収録はなし。字幕には情報量の点でどうしても限界を感じてしまうが、そこそこ健闘しているとは思う。また、ロビンのマシンガン・トークを多く収録し、まるで《エイドリアン・クロナウアー・ショー》を聞いているような錯覚すら覚えるサントラ盤(日本でも出たが、現在流通しているのは輸入盤のみ)も、要チェックだ。