3600ページものマーラー研究書をまとめ上げた著者が各地で行った講演を基にしてできあがった本。だから読みやすい。
数カ所、語られるエピソードに重複がある。それはこの本の価値を大きく損なうほどのものではない。
著者の研究姿勢は徹底していて、マーラーの妻アルマに会い、取材しているし、
その恋人でマーラーとの三角関係になった建築家にも会っている。
アルマの死後遺品を整理し、埋もれていたマーラー関連資料を発見し公刊してもいる。
だから理解や周辺取材は必要十分で、筆致も冷静。
妻アルマとの関係、フロイトとの出会い、シェーンベルクとの関わり、
交響曲7番、8番、10盤の徹底した分析と考察、ベルリオーズから受けた影響など、
どれも読みごたえのある内容で、充実した読書経験となる。