家族のことを書くというのは往々にして文脈に飲み込まれたり、過度に感情が入ってしまったりして、なかなか難しいように思うのだけれど、はいりさんの書き方は安定していて、客観の眼鏡がちゃんとかけられているところが好みでした。読むものに感じさせる余地があるというか。はいりさんをかっこいい女性だと思いました。
内容は、人生の半分以上をグアテマラで生きる弟さんのもとに、はいりさんがなんとなく来訪してから始まった、家族の物語です。グアマテラは当初手紙の流通も悪く、電話も呼び出しで、日本の家族からは連絡のつかない状態が長く続いたそうです。弟さんがグアテマラにすむまでは口を利くこともないような姉弟仲であったことを正直に書くあたりがまた好きでした。長年、家族から不在であった弟さんは、はいりさんの突然の来訪話に拒否もせず、FAX持ってきてと言ってokし、二人の再会が実現します。グアテマラのオープンな文化やゆったりした人々の描写もとても素敵なのですが、わたしが気に入っているのは、異文化を不器用に、ときには文句を言いながら受け入れていく両親と、お互いの距離を感じないような文明の機器のおかげで、父親の介護も時間差で姉弟が見守るといった部分です。再会してからの彼らは、なじりあったりということもなく、甘えがない関係で遠く離れてなお、本質的に近いことが感じられました。そして地に根ざした弟さんの仕事ぶりや構想の仕方もなかなかにかっこよくて、はいりさんはそれを尊敬しているようにも感じられました。家族であるからおなじ土壌にいなくてはならない、とか、いくつになったからこうしなければならないとか、同じ文化を持たなくてはならないといった、ありがちな規範を抜けてクールにいたわりあえることを実践している人々を垣間見ることができました