ギルはニューヨークに出てきてから、自室を解放してサロンのようにしてミュージシャンと音楽のことについて切磋琢磨したそうである。その梁山泊では、印象派やプロコフィエフといった当時と同時代、もしくは極めて近い時代の音楽も俎上に登っていたと、ギルについて書いた本にはある。優れたクリエイターは、評論家や音楽ファンがイメージするカテゴリーなど関係無しに研究するのは今も昔も変わらない。ビバップは即興の可能性の面白さが魅力だが、いつも「せーの」でアドリブ合戦では、個々の才能のぶつかりあいはあっても、音楽の作り方としてはあまりに努力していないし、おのずから限界があるとギルやマイルスは見たのではないか。ビパップを通過したミュージシャン達が、往事の欧州の音楽を視野に入れながら、アンサンブルワークを再構築したのがこの作品である。録音から55年たった今でもこの作品は多くを語ってくれる。名盤です。