クロムウェルは1940年にフランスで戦った自国の巡航戦車の戦訓を取り入れ、装甲と砲力の強化を目的に開発されたものですが、開発はスムーズに進まず先ず、最初にエンジンがクルセーダーと同じリヴァティエンジンと6ポンド砲を装備したキャヴァリア戦車が開発されましたが、リヴァティエンジンの不具合によって、戦闘車として不適との判断され、変わって登場したのがロールスロイスマーリンを戦車用にアレンジしたミーティアエンジンと超信地旋回可能な変速機を持つクロムウェルでしたが何故かナフィールド社はキャヴァリエの生産を2年間500台も無駄に続け、更にミーティアエンジンに不安を感じた、もう一つの製造会社レイランドモータースもミーティアへの換装の余地を残しながらリヴァティエンジンを搭載したセントーという別の戦車を開発するというかなりの混乱ぶりが48頁の内22頁(これには武装や防御の説明も含んではいますが)にも渡って述べられています。
クロムウェルの実戦歴は僅か1頁で、その内の半分はヴィレルボカージュでのヴィットマンの率いるSS第101重戦車大隊第2中隊のタイガーI戦車との戦闘の分析で占められています。
クロムウェルの内部透視図2頁を含む8頁のカラー塗装図の後はクロムウェルの派生車(対空戦車、コメット、チャレンジャーを含みます)の解説と最後に結論があります(功績があったとすれば戦車自体ではなく、それを操縦した人物のもの)。
第二次大戦で英国戦車は余り高い評価は与えられませんが、この本には戦車開発の組織上の問題と戦車の任務とそれに適した武装の選定という点で問題があったことをうかがわせる内容が述べられているように思います。