設定は2021年の近未来。その約20年後の未来から送り込まれる巨大戦勝記念碑の衝撃と、発現時に周囲の熱を吸収することからおこる超低温による周辺破壊で、荒廃していく時代。
記念碑の碑文に書かれた支配者を、将来の戦争で打倒するために軍備増強しようとする者と、その支配者に社会変革を期待する者との思惑の違いが、政治や経済を背景に絡み合っていく。
盛り上がりそうな設定なのですが、SF的な面より、群像劇が中心になっています。おしい。
時間遡行と思われる物理現象の研究者、その協力者、政府関係者、元配偶者、配偶者、親、子供といった人間関係、家族関係を中心に描写が進んでいきます。
各キャラクターの人物像と人間関係は綿密に書きこまれていくのですが、どうも私の好みからいうと人物が類型的なような気がしました。
またSFとしての設定に掘り下げが感じられませんでした。因果律に疑問を呈するような設定なので、もう少しじっくりと背景やそれにより発生する事態を考察してはどうかと思いました。
群像劇部分が人間関係の小説を読みたい人には良いのでしょうが、私にとってはSFとして、ちょっと残念な作品です。