アントワン・フークアがメガホンを取った、サスペンスと人間ドラマ。
それぞれに問題を抱えたニューヨーク市警の三人の警察官が、彼らが働くブルックリンで自らの価値観と信念を問われていきます。
「トレーニング・デイ」でも感じたことですが、フークア監督はストリートの描き方がともかく上手い。
僕はロサンゼルスもニューヨークも訪れたことがありませんが、まるでその町の空気までが画面を通じて伝わってくるようです。
いずれの作品もそうですが「その街に生きる人が、どう生きるかを問われる」という筋書きですから、街の雰囲気を伝えると言うのは重要でしょう。
トレーニング・デイではロサンゼルスのストリートギャングの協力を得て撮影したとのことですが、クロッシングでもブルックリンの地元の人々の協力を得て製作したとのこと。
技術的なことは良く分かりませんが、単によく撮れていると言うだけではない臨場感を感じます。
原題は「Brooklyn's Finest」と言います。
Brooklynは舞台となるニューヨーク市ブルックリンのこと。
Finestは精鋭という意味があり、転じて警察官、なかんずくNYPDの警察官のことを意味します。
つまり原題の意味するところは「ブルックリンの警察官」です。
Finestであるべき三人の警察官は、怠惰、不正、捜査対象への感情移入という問題を抱えています。
彼らはFinestとしての価値観や矜持を持ちうるのか、Finestとして選択することができるのか。
そこがこの映画の見所であり、最後の展開においても重要になってきます。
この作品で唯一残念なのは「クロッシング」という邦題です。
原題も内容も全く反映されていません。
確かに物語の終盤で三人はクロスしており、それも物語に多少は関わりますが、クロスすること自体は重要ではありません。
大事なのは彼らの人生における選びであり、その選びによって彼らが色んな意味で報いを受けるということです。
ネットで色々と検索してみたところ、単館でこの作品を見ようとして、間違えて韓国映画を見てしまった人もいたようです。
原題や内容を反映していない上に紛らわしいのでは、なぜこのタイトルにしたのかと疑問に思います。
作品を見るときは「クロッシング」よりも「Brooklyn's Finest」を意識した方が良いでしょう。