コウたちにとって、若葉が最後に見た夢を現実にするための最後のチャンス、三度目の甲子園予
選に向けた新学期がスタートする。
しかし、依然ストーリーは恋愛ムード。怪我をきっかけに仲を深めていく、青葉と東。偶然が重
なって隣に引っ越してきた若葉と瓜二つのあかねとコウ。それから、どうなるのか一様姉ちゃん
と東の兄ちゃん。
でも事態はそうすんなり進まない。コウは赤石があかねを想っていることを知っているし、青葉
は青葉で、あかねと仲深まっていくコウに複雑なまなざしを送る。
青葉はようやく、コウがピッチャーとして才ある者であることを認めたけれど、青葉にとってそ
んな「高校球児のコウ」を認めることと、「男としてのコウ」を認めることに、何の違いがある
のだろう。青葉はコウの身体を借りて甲子園のマウンドに立てばいいと東は言うけれど、精神分
析的に言えば、相手への同一化だって立派な恋のひとつの形なのだから。
もうすでに「友達以上、限りなく恋人未満」なのだけれど、二人の間に複雑に絡み合った関係が
はさまっているのでなかなか進展せず、もどかしい。
でも良く考えてみれば、恋愛はもちろんお互いが好き同士になって、付き合うことが最終目的な
のだけれど、そこにいたるまでのドキドキした片思いの期間が、相手が自分をどう想っているのかわか
らないがゆえに狂おしくもありもどかしくもあり、そしてもちろん楽しくもあったのではないだろうか。
そういうことをあだち充の描くマンガは教えてくれる。
ラーメン代をかけた賭け。部活終わりの帰り道。一週間早すぎた誕生日。
そこには、今時の「ケータイ電話」や「インターネット」は介在しないのだけれど、介在しないが
ゆえにまじりっけなしの、純度ほぼ100%の「THE 青春」で満たされている。