3巻のラスト、氷柱が黒崎と桂木の関係を掴み黒崎に言う台詞が胸に突き
刺さる。そしてこの台詞こそが「クロサギ」と言う物語の真髄だ。
法にも社会にも裏切られた男。その男がたった一人で挑もうとしている途方
も無く巨大で、闇の中にある現実という壁。
方法は違えど同じ壁に挑もうとしている氷柱はその現実の壁に完膚なきまで
に叩きのめされ、自分の無力さを痛感する。
この話のもう1人の主人公は紛れも無く氷柱である。
一見、殺人や強盗とはとは違い直接的な暴力が伴わず、知能犯罪であり被害
者にも落ち度があったのでは?と思わせる詐欺は、実は最も立証が困難で、
人間の信頼関係そのものを完全に破壊し、深い哀しみとやり場のない怒りを
内包する犯罪であることを思い知らせるものである。
人と人とのつながりが最も大切なものであるからこそ、そこに付け込む犯罪
こそが最悪であることをこのコミックスは教えてくれる。