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クロカミ The Black Slipー国民死刑執行法
 
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クロカミ The Black Slipー国民死刑執行法 (単行本)

今井 恭平 (著)
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商品の説明

内容紹介

死刑執行人が無作為抽出で選ばれることになったら・・・・・・。執行人としての出頭を求める「クロカミ」が届いてから執行までの間の、さまざまな思いを描く異色小説。

【オビ内容】
執行ボタンは1億2千万個。

《確かに殺されるのは、あなたにとって誰かだ。でも殺しているのは誰かではなく、あなたなのだ。[森達也/映画監督・ドキュメンタリー作家]》

「国民死刑執行法」が導入され、国民の中から死刑執行員を無作為抽出で選ぶことになった。
電子機器メーカーに勤める小河真由に届いた、「執行員候補者召喚状」。
真由は法務省による説明会に出頭し、そのまま研修を受け、ついには執行場のある拘置所に来た。
「すべてを手順通りに、ことに時間の進行を正確に行うこと。そして、最後まで刑の執行の厳格さと尊厳を保つこと」
真由は、「国民の義務」を果たすことができるのか。


著者について

今井恭平(いまい・きょうへい)
1949年生まれ。福岡県出身。
ジャーナリスト。冤罪、死刑等を中心テーマに執筆。
本書は初のフィクション。
訳書:『死の影の谷間から』ムミア・アブ=ジャマール著(現代人文社)

登録情報

  • 単行本: 198ページ
  • 出版社: 現代人文社 (2008/5/9)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4877983759
  • ISBN-13: 978-4877983758
  • 発売日: 2008/5/9
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 403,781位 (本のベストセラーを見る)

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5つ星のうち 5.0 フィクションとして笑っていられない恐さ, 2008/5/13
 こんな素朴な疑問を抱いたことはないだろうか。「懲役刑は確かに刑罰だとしても、なぜ死刑が刑罰なのか?」と。
 つまり、獄中生活は「普通」の生活から隔離された特別なものだから刑罰だろうが、死は誰もが一度は迎え入れなければならないものだ。あらゆる人間に与えられる死という平等な経験が、なぜある人にとっては刑罰になりうるのか。
 死刑というものの不思議さを考えて行くと、その点を考えないわけにはいかない。そしてこの『クロカミ』はそれを否応なしに考えさせてくれる。
 「国民死刑執行法」という副題に引かれて読み進めばすぐに、この物語がいままさに、ある奇妙な法律が生み出そうとしている社会の情景を描いたものだということに気づく。しかし著者がこの「クロカミ」のアイデアを思いついた頃にはその法律──「裁判員法=裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は、まだ影も形もなかったらしい。偶然の一致というべきなのか、著者の先見性を讃えるべきなのか。
 閉ざされた法律の世界が一般国民に開かれるという美名のもとに、有無を言わさぬ形で一般人が国家の仕事に参加させられる。フィクションとして書かれたそのときにすでに現実がそうなっているのだから、スリラーとしての恐さはブラックユーモアとしての小説よりむしろ、笑っていられない現実の方にあるのかもしれない。
 クロカミというタイトルを競走馬の名前かと思った人も、私たちの現実と二重写しのこの小説を味わって、笑いながら震えてみてはどうだろうか。
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5つ星のうち 5.0 死刑支持と執行の断絶, 2008/6/10
無期刑と死刑との間にはあまりに大きな差がありすぎる、と言われる。日本の現行の無期刑には仮釈放の規定があるからであり、少なくとも理屈の上では無期刑を言い渡された者は、いつかある日、監獄から解き放たれて社会に出られる希望を残している。(無期刑が運用上、限りなく終身刑に近いものとなっていることや、「社会復帰」後の人生の実態については、とりあえず措くことにする)
だが、この『クロカミ』という小説は、もう一つの「大きな差」に否応なく気づかされる物語となっている。
死刑判決を下すこと、あるいは単に死刑制度を支持するということと、死刑を実際に執行するということの間にある無限とも思える格差、あるいは断絶である。
日本では死刑制度を支持する人が80%近くいるとも言われる(ここでも世論調査や統計の恣意性についてはとりあえず措くこととする)。
この80%の人々にとって、死刑制度とは世論調査の紙に○をつけたことだけで完結してしまう。
誰が、どのような基準で死刑判決を下し、誰が、いつどのような基準で執行命令を出すのか(確定死刑囚が処刑される順序はまったく基準が明らかにされておらず、確定後1年で処刑される者もいれば、数十年後に処刑される者もいる。その間、確定死刑囚は土日と祝祭日、年末年始などの期間を除くすべての日に、処刑の可能性に怯えつづけることになる)そして、誰が実際に手を下して一人の囚人の生命を奪うのか。
そうした問題は80%の人々、いや死刑制度に反対する人たちも含めてほとんどの人たちにとって無関係なことである。
『クロカミ』という物語全体の中ではほんの小さなエピソードとして書かれれているにすぎないことだが、死刑判決を下した裁判官が死刑執行を行うというイスラムの死刑制度の話は、どぎもを抜かれた。死刑判決を下した者の責任とは、ひょっとするとここまで及ばなければならないのかもしれない。だとすれば、死刑賛成を表明するならば、自分が死刑を執行する立場になったとしても、死刑賛成と言えるのか、という自問を一度はしてみるべきなのかもしれない。
国民死刑執行法という架空の制度のもとで繰り広げられる人間達のドラマは、そんな法律など存在しない現実社会では虚構の物語にすぎない。しかし現実の中であるからこそ見えにくくされている問題を赤裸々に突きつけてしまうこと、これがあるいはフィクションというもののもつ大きな効用なのかも知れない。
死刑執行までを時間軸を追って、処刑する側、処刑される側の両方から描いた本作は、最後まで緊迫感を持続して飽きさせない。そして、いったい結末はどこにいくのか、最後まで予測を許さない。
物語そのものを紹介することは読者の興を削ぐことになると思うので、あえて抽象的な書き方ばかりの書評になってしまったが、今だからこそ読む価値のある本の一冊であることだけは間違いない。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 他人事のフィクションだと思うなかれ, 2008/5/20
この本はタダの小説じゃありません.ストーリーこそはフィクションですが,死刑制度,刑務所,現代日本での凶悪犯罪事件の被害者や加害者の扱い等,ノンフィクション,現実の正確な描写が盛りだくさんです.

2009年から,アメリカの陪審員制度に似た裁判員制度が日本でも始まる予定があります.この本を読んで,あなた自身が他人に刑罰を下す苦悩を考えてみてはいかがでしょうか.
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