恩田陸はしばしばミステリ作家という分類をされるが、この作品を見れば、その分類を逆の意味で理解することが出来る。
バイセクシュアルでオネエキャラの主人公、その双子の妹、不倫の相手、クレオパトラという謎の言葉、謎の死…めくるめく謎のキーワードはそれだけではミステリやメロドラマのようだが、恩田陸はこれらを最大限に活かし、昇華するだけでなく、単純な解決では終わらせない含みを持たせた作品に仕上げた。
「恩田陸はオチが良くない」、これは各所で語られる事だが、作者本人がオープンエンドを公言しているだけに、読み手としてはそれを肯定し、頭を巡らせないといけない。本作はその最右翼といっても過言ではない。謎は全て薮の中…ではないが、真相を推理しあうだけで、答えは、無い。しかし、物事は往々にしてそういった側面を持っているのではないか。だからこそ、この作品は単純なミステリではない。
ちなみに本作は「MAZE」の続編だと良く書かれているが、前作からの継続キャラは一人だし、前作とのリンクも全くなく、これから読んでも十分に楽しめます。
「全ての好条件の揃った婚約から逃げ出したくなってしまったのも、そのせいだ。幸福な自分というセルフイメージを描くことができないのだろう。いつもどこかに破滅の影を追ってしまう。」 本文176ページより