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5つ星のうち 5.0
老いることへ前向きになれる, 2011/6/13
レビュー対象商品: クレアモントホテル [DVD] (DVD)
今年上半期見た映画で最も心に残った一本。漸くDVD化され多くの方と感動を共有できるのが嬉しい。
原作は英作家エリザベス・テイラーの残した同名小説。長年連れ立った夫を亡くしたサラことバルフリー婦人は、ロンド
ンにあるクレアモントホテルに長期滞在することを決める。そこで同じく滞在する老年の同士達、ホテルの近くに住む小
説家志望の青年ルードことルードウィック等との出会いを通し生まれる様々なエピソードを描く、というのが概要。
中心となるのはサラとルードの交流エピソードだが、この二人は勿論脇役が皆個性派揃い。ホテルの常連客はもとより
ホテルのウェイトレス・荷物持ちまで癖ありだが愛すべきキャラクター達を英若手〜ベテラン俳優陣が力演、観終わった
後端役の些細な台詞・演技まで記憶に残るのは凄い。
クレアモントホテルに集った常連客達は初めは変わり者揃いに感じるが、作品が進むにつれ皆一癖ありながらも各々の
やり方で人生の夕暮れ時を謳歌する様子が見えてくる。その姿はこれから老いを迎える私に希望を与えてくれた。
ドラマ「Sex and the City」を愛し、色恋沙汰に胸躍らせ、ピアノに合わせて歌い踊る。しかもその生き様に品の良さと誇り
を忘れないところが素敵。
一方で本作は死と孤独というシリアスな側面をも描く。ホテルで起こるある事件は、家族があれ友人があれ、死ぬ際は誰
でも一人という現実を見せつけられるが、それに凛とした態度で望むある人物の潔さが美しく、自分自身このような覚悟
で死を迎えられるか考えてしまう。
サラとルードのエピソード内では、深夜にルードの部屋に二人きり、ルードが静かにギターを爪弾き彼女が愛する夫に
因んだ想い出のナンバー「For All We Know」を歌うシーンが思い出すだけで涙腺が緩む素晴らしさ。同ナンバーが再
度流れ出すとあるシーンでは、観た人の心にまで特別な曲として記憶に刻まれるかもしれない。
恋・老い・孤独・死…人間が老いる際に避けられないテーマを、コミカルとシリアスな展開をうまく織り交ぜて描いた秀作。
是非登場人物達の生き様にくすりと笑い、涙してください。