海外で活躍する日本人女性ピアニストといえば秋吉敏子を嚆矢とするのだが、最近は大西順子をはじめ数人の活躍が目立っている。彼女達の意外にもハードで力強いタッチやドライブ感は女性らしさを売り物にしない、いい意味でユニセックスなジャズの懐深さへのアプローチが感じられる。本作はとりわけドラムスのビリー・ヒギンズとの共演であり、ひときわ桁上げされた大西のプレイが聴かれる。ヒギンズといえばオーネット・コールマンとの共演で有名だが、ハンク・モブレイのディッピンをはじめとする名盤メイカーのドラマーとしても知られている。僕は70年代後半に新宿のピットインでシダー・ウォルトン・トリオとナベサダが共演した際に生で聞いたことがあり、フレキシブルでセンスのいいドラミングに魅了された。さて、大西順子だが、僕は低音の力強いシングルトーンでひきまくる彼女のピアノに参っている。特に、オーネットのコンジニアリティでのハードボイルドでアバンギャルドなスリルあふれる演奏が好きだ。また、ロリンズのブルー・セヴンでのややとぼけたユーモア感もたまらなくいい。この日本人女性の力強さと美しさは世界に誇っていいのではないだろうか。