若い世代の方ですと、クリームが登場した時の衝撃度合いが分からないと思います。レッド・ツェッペリンやキング・クリムゾン、ディープ・パープルというスーパー・グループの先駆というだけでなく、ハード・ロックというジャンルを確立した意味合いはとてつもなく大きいと思っています。ビートルズの『リボルバー』等とは全く違う土俵に登場した感じを受けたものです。
今は俯瞰的にロックの流れを辿ることができますが、リアル・タイムに音楽が流れている1968年当時、今聴いている音楽の相対的な位置付けなんてできるわけもなく、ただその難解で、とてつもない迫力のある音楽に惹きこまれ、テレビで流れているライヴ放送(少し後になるとクリームの映像はテレビに流れたのです)を見ては度肝を抜かれていた状態でした。
リアル・タイムでビル・ボードやキャッシュ・ボックスのヒットチャートを追っており、「ホワイト・ルーム」もその当時シングル・ヒットした思い出の曲です。説明不要の名曲ですし、当時日本でも支持された曲ですね。ミュージック・ライフという音楽雑誌に取り上げられたのもその頃です。
一方「クロスロード」や「スプーンフル」の素晴らしさを分かるのには、少し時間がかかったように思います。今聴けば、その技術、音楽指向、ジャズ・ブルースの影響度などが見えてきますが、当時クリームは難解だという捉え方がされていたように思います。それゆえ、ロック・ファンには崇められた存在だったのですが。
このアルバムが発売された1968年は騒乱の年でした。ベトナム戦争は泥沼化しており、ソンミ村では大虐殺があり、キング牧師、ロバート・ケネディが暗殺され、日本では東大紛争が激化した年です。喧騒の渦の中で、クリームの音楽を支持する若者の心境と時代とはリンクしていたと思っています。そんなことを感じながらこの名盤を振りかえって聴きました。