これは面白い試みの作品だ! クリムトという画家の生涯をその作風やモチーフを
生かして絵本にするという困難なテーマを みごとに具現化している。
クリムトといえば、金色と幾何学的な模様をまとった女性の絵を思い浮かべる。
そして、この絵本にも特色印刷で金色がふんだんに使われているし、
コラージュによって幾何学模様が効果的に組み込まれている。
女性たちの顔や容姿は、まるで彼の絵から飛び出したかのように、うまく
デフォルメされている。
これは実に高度な翻訳作業でもある。画家の絵から絵本の絵への。
オクタヴィア・モナコは、クリムトの描いた世界を尊重しつつ、オリジナリティ
あふれるイラストを創出してのけた。彼女の視点を通すことによって、
クリムトの世界がより立体的に認識できるようになったといえる。
その仕事の確かさは、本書でイタリア・アンデルセン賞における
ベストイラストレーターに選出されたことが証明しているといえるでしょう。
率直にいって、オクタヴィアはスゴすぎです!
(個人的にはクリムトの絵よりも彼女の絵をもっともっと見てみたい)
巻末には、クリムトの写真(こんな人だったんですね…)と元の絵が紹介されている
ので、それらが絵本のどこに生かされているか探してみると より理解が深まります。