一つの小説で一体いくつのネタを使ってるんだ?
暗号、スパイ、Uボート、埋蔵、発掘(サルベージ)、海兵、日本兵、
マニラ、北欧の憂鬱、異端宗教家、RPG、エコフリーク、ベンチャー企業家、
ナチスの財宝、ホモセクシャル、パールハーバー‥‥‥。
数え上げるのもめんどくさいやら楽しいやら‥。
この膨大なネタを、各登場人物ごとに章分けしオムニバス形式で綴ってゆく
ことで違和感なく一つの本に収めている。
しかも、単なる大盛りではなく一つ一つが人物の味を引き出すスパイスとしてちゃんと生きている。
この作者、前作でも似たようなことをしており、ヒーロー、ヒロイン、アンチヒーロー
の三本立てを、各々際立たせつつまとめ上げていた。
今回はその技法に磨きがかかり、全ての登場人物それぞれが異彩を放つあまり、
誰もが主人公たりえ、さながらヒーロー不在の様相である。
4冊というボリュームでも飽きがこず、むしろ足りないくらいの満足感である。