第二次大戦を舞台に(主人公?は現代が舞台)、決して戦争の表側には
出てこないタイプの男達それぞれの想いがオムニバス形式で綴られ、錯
綜し一つの謎に向かって収束してゆく。
基本の物種は「暗号」で、詳しくないとやや理解しがたいが、一つのイ
ベントがオムニバス形式で様々な角度から描かれているため、「暗号」
についての知識が薄くても面白く読める。
主要な登場人物たちの各描写が非常に優れており、一体誰が主人公なの
か分からない。むしろ自分の気に入った人物が主人公でいいような気も
する。それほどまでに登場人物たちの想いが生き生きと描かれている。
内容としてはSF物ではなく戦争物(サスペンス的要素が濃い)のようだ
が、軽快なリズムが最近のSF物のようで読みやすい。
少々冊数が多いが、駄弁やおたんびー描写に埋め尽くされた「大作!」
とは違い、各章ごとにテンポ良く書かれており納得できるボリューム
である。
ハヤカワの「青」にこだわる人もそうでない人も一度読んでみて欲しい。