本書でも一連の作品と同様に、既存の手法が通じない経営問題に直面する主人公がTOCに出あい劇的な成果をあげるという、「コストワールド」から「スループットワールド」への転換を興味深く描き出している。その「世界」を体験させてくれる大きな役割を果たすのが、定番の小説スタイルといえよう。
ストーリーは、大学のエグゼクティブMBAのクラスを舞台に繰り広げられる。主人公の教授と、各業界から現行のプロジェクトの納期短縮といった使命を帯びて集まったプロジェクト・リーダーらが、議論を戦わせながら現実的なソリューションを求めていく。
プロジェクトの問題点はここで総ざらいされる。納期直前まで作業を始めない「学生症候群」、結局は無駄になる「セーフティー(時間的余裕)」、あるいはクリティカルパス以外の作業の開始時期、プロジェクトの評価基準などだ。TOCはそれらを見事に解決するが、同時に、クリティカルパスの変化やマルチタスク(掛け持ち作業)による人的リソース不足といった実行段階の問題を解く新たな視点も要請する。それが「クリティカルチェーン」である。
謎解きのような展開にはやや焦らされるが、具体的な事例をもとにプロジェクトマネジメントの基本を順に追うことができるのはよいトレーニングになる。エッセンスがつまった部分としては、取引先との納期の交渉シーンなどが見ものである。読者を限定しない1冊で、これでTOCはさらに浸透するだろう。(棚上 勉)
小説の舞台は、ある大学の社会人向けMBAコース。所属会社から「製品開発プロジェクトの期間を短縮する方策を探れ」との指令を受けた3人が、プロジェクトマネジメントの講義を通して、課題解決のヒントを見つけるまでを描く。前3作と同じく、純粋な小説としては描写が平板だが、登場する失敗プロジェクトのエピソードが巧妙なので、ついページをめくってしまう。
主人公である教官と学生のやり取りを通じて、著者は「ボトルネックとなるリソースの都合を優先して全体スケジュールを立案すべき」と提唱する。結論を急ぎすぎるきらいもあるが、それなりに納得できる。システム開発プロジェクトに携わるエンジニアは、一読して仕事の進め方を見直すとよいだろう。
(日経コンピュータ 2003/12/15 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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ただし、この本に書かれている通りそのまま実現するのは難しい。例えば、タスクの実現可能性50%の期間を見積もるのに、現在の見積もりの3分の1という期間が示されているが、なぜ3分の1なのか明確な証拠が示されていない。実は、この点は現在でも明確な説明がない。また組織文化的に厄介な部分もある。他にも批判的に読めば、このままでは使えない点に気づくだろう。
評者は実際にChritical Chainを使用してスケジュール管理をしている組織を知っているが、この本の通りには行っていない。また専用のソフトウェアを使用している。
考え方は使えるので星4つだが、そのまま使おうとするとヤケドするので注意。
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