本書の最大の特徴は必須な知識を、極めて分かりやすく述べていることであろう。ページ数が多い本ではないが、基本的な知識(しかしその重要性にもかかわらず、実際には有意義に使われていないと思わざるをえない知識)のクリティカルケアの臨床での活用を本書は明解に示している。
例えば、水と電解質についての項では、だれもが学校で習った体液区分や水分出納をベースに、予測されるバイタル変動や輸液と有効循環血液量の考え方が平易な言葉で述べられている。言葉は平易ではあるが内容のレベルは中堅以上のクリティカルケア看護師を充分に納得させるものであると思う。
初心者にとっては必須知識の学習と臨床での実際的なポイント(たとえば麻痺のみかたの項)の習得に役立ち、中堅以上のナースにとっては、これまで案外と体系的に勉強する機会を逃してきた知識をまとめ、あらたな発見に出会うことができる本であろう。また、副題「“声にならない訴え”を理解する」に象徴されるように、クリティカルケアの本質にかかわる記述が随所にみられるのも、本書の大きな魅力のひとつだと思う。