名探偵シャーロック・ホームズには一人の姪がいた。
彼に勝るとも劣らぬ推理力と行動力を持つ、彼女の名前はクリスティ・ホープ。
ホームズの影で、彼女が解決した事件も多い。
その一つが、「スマトラの大鼠」事件である・・・
ホームズ・パスティーシュとしても一級品のミステリコミック。
いわゆる<正典>の中で扱われていない、名前のみ上げられている事件もいくつかとりあげている。
ひとつが6巻の「名うてのカナリヤ訓練師」事件。
もうひとつが今巻の「スマトラの大鼠」事件である。
評者はシャーロッキアンではないのであまり細かいところはわからないが、今までにも
シャーロック・ホームズのクロニクル (創元推理文庫)などのパスティーシュでも取り上げられている事件である。
タイトルありき、の話であるので、中身は当然それぞれの作者で違う。
この作品では、インドの政治に関わるホープ卿とその家族を亡きものにしようとする太守(マハラジャ)の
手先とそれを阻もうとする海賊<スマトラの大鼠>、ロンドンでホープ家を守るクリスティ達・・・の
三つ巴の戦いが描かれている。
シリーズ完結刊ではあるが、最後はハッピーエンド。
そして次からは成長したクリスティが活躍する新シリーズが開幕する。
女性キャラクターの大きな眼が独特なので、受け付けない人もいるかもしれない。
しかし、(量産こそされないが)このレベルでストーリーを紡ぎ続ける、この世代の作家はもう少ない。
個人的に三羽烏と思っている中の一人は筆を折ってしまい、もう一人は鬼籍に入ってしまった。
細く長くでもいい、これからも描き続けてほしい。