『クリエイティブ脚本術』というタイトルから、独創的な脚本の書き方、と言うものを期待して読む方も多いと思いますが、どちらかといえば『王道』『名作』の物語創作について深く掘り下げた本だと思います。
(コメディとかラブストーリーなど、軽いタッチの脚本を書きたい方、もうテーマが決まっていて、表現技法を学びたい方には向かないと思いますし、読むと逆に気が重くなるかもしれません。)
小説や脚本を書く際に使えるテーマは限られていて、人に感動を与えるテーマも何千年も前から変わらないこと。
特に、名作と呼ばれる物語は、そういった普遍的なテーマをきちんと押さえているということが、この本を読むとよく分かります。
本書はストーリーホイールという考え方を用いて、物語のテーマにはどのような種類があって、自分が書きたいテーマがどこにあたるのか、クリアに分かるように説明してくれます。自分の文章を客観的に見たいとき、物語や映画を評価するときに、この考え方は非常に役に立ちます。
実際の創作技巧に直接的に影響を与える内容ではないと思いますが、作家本人の考え方に深みを与え、物語をまさに『考え始めよう』とする瞬間に、この本の言葉を随所で思い出し、道標になるような本だと思います。既出の名作に感銘を受け、いつかはそのような本、脚本を書いてみたい、という思いが強い方であれば、この本は頼りになるバイブルの1冊と考えます。
神話やユング派の引用が多く見られ、作者の造語も多いので少しとっつきにくい印象もありますが、作家であれば心理学や神話の素養は必要だと思いますので、それらも一緒に学ぶつもりで読めば得るものはあります。脚本術として、これほど本質にせまった本もそう無いかと思います。おすすめです。