その声に従って水車場の見習となったクラバートは、昼は水車場の職人として働き、金曜の夜には12羽目のカラスとなって、親方から魔法を習うことになる。
『大どろぼうホッツェンプロッツ』や『小さい魔女』などで知られるオトフリート・プロイスラーが、ドイツとポーランドにまたがるラウジッツ地方の古い伝説を下敷きにして書いた『クラバート』。チェコのアニメ作家カレル・ゼマンによって映画化もされたこの物語は、ドイツ児童文学賞、ヨーロッパ児童文学賞などを受賞し、プロイスラー文学の頂点ともいわれる1冊である。
クラバートが足を踏み入れた水車場は、暗く多くの秘密を抱えた場所だ。新月の夜に現われる大親分の存在や復活祭の決まりごと。毎年の大晦日には仲間のひとりが犠牲となるなど、常に死の影がつきまとう。そこでの3年間の修行を経たクラバートは、「自分自身の意志の力と、ひとりの誠実な友の助力と、ひとりの娘の最後の犠牲をも覚悟した愛とによって」親方との対決を果たすことになるのだ。
宮崎駿が『千と千尋の神隠し』の下地としたという本書は、少年少女向きの軽いファンタジーではない。あらゆる世代を対象にした児童文学の枠を超える1冊である。(小山由絵)
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主人公は友情や愛を見い出すことにより、自分にとって本当に必要なものが何であるのか見極めて、決断を下せる強さを手に入れるのです。
この本を手にしたのは15年以上も前になりますが、今でも時々読み返したくなる貴重な作品です。
巻末の解説によればもともとこの話はドイツ・ラウディッツ地方の伝説として伝わっていたものだったとか。プロイスラーは少年のころこの話を読み強烈な印象を受けたそうですが、もとの伝説とプロイスラー版「クラバート」ではストーリー(とくにラストにかけて)が違います。そのあたりはどうしてなのかを考えるのも面白いかも?
今回再読して、とりわけ心に残ったのは、クラバートが魔法使いの親方の弟子になって三年目、それまでの閉ざされたものから開かれたものへと物語の空気が変わる、その鮮やかさでした。黒々とした闇の中に、一条の光がすっと差し込んだかと思うと、劇的に変化していく物語の色合い。雪解けとともに、長い冬がついに終わり、みるみる春の彩りを増していくような物語の風合い。初めはかすかだった雪解けの川の流れが、「三年目」の章に至って、ぐんぐんと力強く、終盤へと駆け下っていくところ。そこに、とても感銘を受けました。
ご存知の方も多いでしょうが、この「クラバート」の物語、宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」の印象的なエピソードとしても使われているんですよね。映画を見た方なら、きっと、「ああ、この場面がそうなんだね」と気づくことでしょう。
原題は、KRABAT 1971年の作品。
著者の作品では、『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズ、『小さい魔女』などを、子供の頃、とても面白く読みましたけれど、一番感銘を受けた作品といえば、大人になってから読んだこの『クラバート』です。今回再読して、あらためて、物語の魔法の力に打たれました。中村浩三氏の訳文も、こなれていて読みやすいものでした。
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