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とはいえ、宇野氏が悪いのかというと、そうではない。もともとパイの少ないこの業界にあって、レコード会社の意向を気にせずに好き勝手を言うのは至難のことであろうと推測する。現に、最近は売らんがための宣伝が目に余り、それに追従すると思しい似非「評論」も(これは昔からだが)少なくない。その点、宇野氏は自己の信念を頑固に主張し続ける希有な存在であり、一般性はともあれ正直な判断を開陳している点においては賞賛に値すると思う。吉田秀和氏との違いは、残念ながら宇野氏の文章力が語彙の点でも表現力でも、かなり見劣りすることである。文学性はない。いくぶん下品である。ど演歌評論である。もっとも、わかりやすく、読んでいて(いろんな意味で)楽しいから、これは彼の個性として、このままでますますがんばってもらいたいと私は思う。
そういうわけでこの本は、CD選定に使う実用書、というよりは、ある程度事情を知った人が楽しむ娯楽本である。対抗馬として登場する7人は宇野氏にかなり近い人々と思われ、だからあまり趣味の違いがなく、表題から憶測したほどの対立がみられない点が、いくぶん残念に思われた。
私のような宇野信奉者は必ず持つべき本だが、初めて宇野氏の本を読む人には、「宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版」をおすすめする。
この本に関しては、
彼の「毒」が単に「毒」にしかなっていない... 続きを読む
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