歴代メンバーをはじめとする多くの関係者に取材し、今も活動を続けるブリティッシュ・ロックの重鎮の歴史を追ったドキュメンタリー。彼らのヒストリー・ビデオは今までにも制作されてきたが、内容・ボリュームともに最高。取材を受けた人々の年齢からいって、今後彼らについてこれを超えるものは作れないのではないかと思う。
特にバンド結成前の動向から彼らが「デイズ・オブ・フューチャー・パスト(サテンの夜)」で現在の地位を確立するまでの過程に丹念に時間を割いているのがポイントだ。ELOのべヴ・べヴァンや、後にソロで彼らのレーベルと契約するニッキー・ジェイムスを含むバーミンガム時代の仲間から、英デッカのエグゼクティブ・プロデューサーだったヒュー・メンデル、全盛期のレコーディング・エンジニアだったデレク・ヴァーナル、果てはアルバムのクレジット欄に必ず名前があるマイク・キーズやアイヴィ・スチュワートといった人たちまで、恐らく一生声を聞くことがなかったであろう関係者がバンドについて語ってくれるなんて、ただただ夢のよう。そして何より、「固い友情で結ばれた、神秘に満ちたプログレ・バンド」といったイメージを自ら打ち払うがごとく、バンド内外の人間模様について率直に語るメンバーに感動した。
特に印象に残ったのが、マイク・ピンダーの過去として消化されているからこその快活さと、対照的に時に言葉を詰まらせ、顔をこわばらせて感情を露わにするグレアム・エッジの頑なさだ。過去のインタビューからは信じられないが、実は一番繊細な男なのかもしれない。改めて惚れ直した。ファンは黙って買うべきである。それぞれに何がしか発見があり、バンドへの愛を再確認できるだろう。