クラウドについては、本書以外にも、同じ著者の「
クラウドの象徴 セールスフォース」、それから、「
クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった」を買って読んでみた。
教科書的でBtoB寄りなのが、「クラウドの衝撃」、ややBtoC寄りなのが本書。BtoBの巨人のセールスフォースを特に知りたければ、「セールスフォース」ということだろう。
まず、クラウドとは何かについてだが、これは決して新技術を言っているわけでもないし、含んでいる要素も様々(SaaS、データセンター、WEBアプリ、オープンソース、ネットブック等)であり、まさに雲を掴むようで定義は難しそうだ。
本書では、「ネットの持つ力を活用した、新しいコンピューティングの方法」と、サラッと書いてある。
ただ、シンクライアントの論理的帰結として実現したWEB2.0的な、世界のサーバー群を利用した各種サービスと言うことができるだろう。
クラウドの特徴について印象的であったフレーズを拾ってみると、
・ブロードバンドの普及で、アプリケーションをパッケージで買ってインストールするということがなくなる(つまり、情報成果物の購入からダウンロード・サービスへ移行。常に最新版を使えるというメリット)
・iPhoneのよさは、新しい技術基盤だからできたこと(現在携帯電話で使われている技術は、十数年前のもの。新しいOSで解決可能)。
・GMAILのすごさは、「ウエッブアプリでもローカルアプリと同様の操作性が実現できて、それがマス向けに提供できる」
・2008年10月に出荷されたパソコンのうち、25%がネットブック・マイクロソフトの今後の中核技術は「ライブメッシュ」。データをネット上に置き、携帯電話やパソコンをシームレスに同期させる仕組み。
・サービスの限界を決める要素が、ローカルの時代と大きく異なる。サービスの限界は「容量」でなくて「転送量」。
コアビジネス以外はアウトソースされていく時代の流れの中で、企業内システム部門の究極のアウトソースであるクラウド化は今後も進展するのであろう。
その中で、どのようなビジネス構造の変化が生じてくるのか興味津々である。
しかし、クラウド・ビジネスの革新・前進という意味で、日本企業があまり貢献していないように見えるのは残念なことであるし、一斉に後追いしているのは、見苦しいところである(やむを得ないのだが)。