東京銘曲堂という時代錯誤なグループが川嶋哲郎率いるトリオによるユニットだと知って納得。哀歌で独自の陰影に富んだテナーを聴かせた川嶋だけに期待した。Cry Me A Riverに始まり、That’s All、 Polka Dots And Moon Beams、You Are My Everything、You Go To My Head と続くスタンダードの流れはオーソドックスだが一度聞くと癖になるサウンドにひかれる。テナーの音質はソニー・ロリンズを少し細くし、ジョー・ヘンダーソンの粘りを少し加えた感じなのだが、そこに得も言われぬ日本的な感性を感じ取るのは僕だけであろうか。おそらく日本人の持つメンタリティをいい意味で保持して、決して泥臭くはないスマートさと現代性も兼ね備えている。哀愁味を帯びたフレーズと非凡なリズムセンスは独特なスイング感を形成している。 Soul Eyes ではフルートも披露しリリカルな一面も見せる。アメリカの模倣から始まった洋楽だが、21世紀の今となっては日本人のジャズという分野が厳として存在すると言わせしめる歴史と成熟を感じる。