アカデミー脚本賞は伊達じゃない。
アクション・シーンはあるが、見せ場ではない。
登場人物達の会話(ダイアローグ)が見せ場なのだ。
一例として。
有名な「サソリとカエルの寓話」が捕虜の英国兵士から語られる。
大きな川を渡りたいと思ったカナヅチのサソリは、川にいたカエルに頼んだ。
僕を背中に乗せて向こう岸まで運んでもらえないか。
嫌だよ、カエルは答えた。キミは刺すじゃないか、死んでしまう。
そんなことはしない、サソリは答えた。
一緒に溺れてしんでしまうじゃないか。頼む、お願いだ。
う〜〜ん、そう言われればそうだ、判った。乗せてやろう。
カエルはサソリを背中に乗せて泳ぎ始めた。
二人は川の中ほどまで来た。そのとき、カエルは背中に激痛を感じた。
サソリが刺してしまったのだ。
痺れて動かない体で波間に沈みながらカエルは叫んだ。
どうして刺すんだ!、二人とも溺れて死んでしまうのに!
溺れて沈みながらサソリが答えた。
仕方ないんだ、それ(刺すこと)が僕の性(さが)なんだ。
捕虜は続けて見張りのIRA闘士に言う。
「あんたは親切だ。それがあんたの性(Nature)なんだ。」
IRAに拉致された英国兵士を演じるフォレスト・ウィテカーは、こういう繊細な感情表現が実に上手い。
IRA闘士たちは、みな揃って痩せ型でスリムで白人、捕虜になった英国兵士はでかくて太っていて黒人。
こういうキャスティングによる対比表現も巧みである。
ジュードという愛の無い冷酷な女闘士、しかし捕虜の恋人であるカノジョは真実の愛に生きている。
オタク目線で見ると、BL要素満載である。う〜〜む、深い。
なんか、こんな映画を他にも見たなあ、と考えたら「蜘蛛女のキス」でした。
訳のわからないレビューで済まないが「大人」に薦めたい傑作です。
英国演劇に通じる英国映画の素晴らしさを堪能なさって下さい。