全37話に及ぶ異色の「大河ドラマ」ウルトラマンを、テーマ性を保ちつつ60分あまりにまとめきった阿部雄一(アベユーイチ)監督の手腕に脱帽です。
「ウルトラマン・ネクサス」は意欲的な取り組みであったにも関わらず、「シリアスで重苦しい雰囲気」「謎めいたわかりにくい筋立て」などと一部の不評を買い、1クール短縮の憂き目をみた不遇の番組ですが、今回の「クライマックス・ストーリーズ」をみて、やはりウルトラ・シリーズ屈指の名作であるという思いを深くしました。新たに録音された孤門のナレーションによって物語の流れがとらえやすくなっており、「ネクサス」のエッセンスを手っ取り早くみることができる作品に仕上がっています。
もっとも、初めて「ネクサス」をご覧になる方がこの「総集編」にどこまでついてこられるか、という点については、正直なところよくわかりませんので、評価は星四つにとどめます。本編最終回の怒濤の展開ほどではないにせよ、気を抜かずに視聴されるようおすすめします。
無い物ねだりであえていえば、真実を追求し続ける根来の姿や、憐との関わりを通して変わっていく瑞生のあり方など、盛り込まれていない重要なエピソードや名シーンもたしかにあります(とくに、記憶をめぐる物語への踏み込みが控えめな点はやや残念です)が、尺の短さを考えれば致し方のないところでしょう。それらについては、改めて本編で味わっていただきたいと思います。
他のレビュアーの方も触れておられますが、詩織の番外編がちらっと挿入されるあたりに、制作スタッフの「ネクサス」への愛をしみじみと感じました。