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クマは眠れない
 
 

クマは眠れない [単行本]

米田 一彦
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

クマは眠る。
北域の白雪は紺碧の森を隠し、冷艶な樹海の深みにクマは眠る。
しかし今、クマが安らかに眠れない時代が到来した。

学生時代、故郷青森の果樹園で目撃したハンターによる無残なクマの射殺場面に遭遇し、著者・米田一彦はその人生をクマの調査・研究に捧げる決意を固めた。
以来四十年、時には越冬中の母子グマの姿を追い求めて厳冬の山を彷徨し、あるいは捕獲されたクマの射殺現場に立ち会いながら、このいたいけな野生動物と人間とが共生できる方策を模索し続けてきた。行政の無為無策による大規模駆除に対して痛烈な批判を展開する一方、絶滅の危機に瀕しているクマの世界に忍び寄る、新たな要因がもたらす異常行動の謎を解き明かしていく。
本書は、「異端の肖像」米田一彦がその壮絶な生き様を通じて、クマの知られざる生態に迫った渾身の書き下ろし作品である。

内容(「BOOK」データベースより)

ハンターらに囲まれた母子グマ。母グマは泣き叫ぶ小グマを守るように、そして最後の愛情を与えるかのように体をなめはじめた。そのとき銃弾が彼女の眉間を貫いた…。里山への出没が増えたツキノワグマ。駆除という殺処分をマニュアル化して推し進める行政。2006年の駆除数は、明らかにされただけでも4000頭以上にのぼる。「クマはゴミじゃない」。ツキノワグマ研究の第一人者が、クマの異常行動の謎を解き明かし、人間と野生動物の共生の道を訴える渾身の書き下ろし。

登録情報

  • 単行本: 238ページ
  • 出版社: 東京新聞出版局 (2008/7/11)
  • ISBN-10: 4808308959
  • ISBN-13: 978-4808308957
  • 発売日: 2008/7/11
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.2 x 0.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
リンゴ園に入り込んでいた熊を観察中に、目前で猟師がその熊を射殺。この40年前の学生時代の体験以来、著者は熊との共存方法を求め、秋田や西日本の雪山にも深入りし、熊を観察研究。熊が人に害を与えず、人も熊を駆除しなくてもよい道を、命がけで求めてきた生き様が、野生熊の生態と共に詳述されています。

熊の棲息実数は分からず、今は残された毛のDNA鑑定をして、個体識別を進めている段階だそうです。確実なのは、駆除数です。○穴籠り中に、危険として予察駆除された春熊狩りの数。○里近くに出没、害をなし駆除された数。○捕獲後、人の怖さを教えて山に戻した奥山放獣の数。○猪などの罠にかかり、殺された錯誤駆除数。(これは違法なので、環境庁は統計に入れない。)この統計を見ると、'04、'06が特異年です。過去多くても1,500頭なのが、'06には、有害捕獲数は4,846頭に上り、人身事故数も例年の3倍以上約140件でした。理由は、「鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律」の改正で、都道府県が生息数を把握後に駆除上限数を決めることになり、また「地方分権一括法」で、市町村にまで、駆除許可の権限が委譲された。この制度と罠・檻の乱用が、大駆除に繋がったようです。

出没の長期要因を、人間側の変化による山の環境変化で説明する説が4つあります。しかし、それらでは、突出年の原因を説明できません。著者は、気象条件に着目。人に害を与えた月日とその前後の気象データを比較。気圧が低くなる数日前に、事件が多発するのを発見。この2現象間の因果関係を推測しています。今後より精密な研究で、有意な結果が出るとすごいですね。60歳の著者は、フィールドが出来、現実問題に対処できる人材の育成を望んでいます。「なして人を襲うんだべ。そごが分がらねえ。それさえなければなあ。」と、熊への愛が、溢れる著者の心を、受け継ぐ人が待たれます。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
登山者は必読 2009/10/6
By ベア
形式:単行本
登山ブームの中、
野生クマの生態について知らなさすぎる人が多い。

にわかに信じ難い話だが、
東京の山にも、クマが居る。
私も知らずにもぼり、初めは驚いた。
元々は、彼等の住む山である。
我々は、著書を熟読し、
彼等の山・生態を知る必要がある。
クマは、理由があって、人を襲うのだ。
人間のエゴで、殺されるクマたち。
人間が山に入らなければ、
そんな惨事は起こらない。

登山される方、これから登山を始めようと言う方、
是非読んで出かけて下さい。

クマへの見方が変わります。
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形式:単行本
 著者の米田氏は、言わばクマに人生を捧げた方です。クマと人間のより良い共生のあり方を求めて活動されてきました。日本で初めて「奥山放獣」を実施したのは氏とのことです。

 秋田県庁勤務時代から始まり、活動の中心を広島県に移し、現在に至るまでの体験を横軸にし、様々なことが描かてれています。その内容は多岐にわたり、クマ調査で分かったクマの生態・習性や、調査中の危険なエピソード、農作物被害への対策とクマ保護のジレンマ、行政の仕組みと問題、クマ駆除の現場に立会った時の怒り・かなしみ、クマとの共生について・・・

 情報社会に氾濫する、薄っぺらな、借り物の知識・思想には無い、重みが氏の言葉にはあります。

 この本は、2004年の異常なクマ事故多発の原因究明が大きなテーマになっており、話はそこに収束していきます。2004年はクマの民家への侵入、クルマとの衝突、家畜の被害など、クマ自らが引き起こした事故が多発し、これが後の2006年のクマ大量駆除の原因、正当化の理由になっています。

 氏はクマの被害統計や気象データを元に、2004年の異常現象に対する仮説を立てます。そして「我々クマに携わる者の務めは、危険なクマの生態を知り、その知見を中山間部で生業を営む人々に周知することにある―(略)―いかに被害防止のための方策を実用に近づけるかが重要だ」としています。

 クマの行動原理をよく知り、みなで(クマと生活圏を共にする人は特に)共有する。そして人間の生活を、クマと共存できる形にできる範囲で変えていく。クマと人間の共生は、このようなプロセスの繰り返しの先にあるのでしょう。このような姿勢は、クマだけでなく、自然(森や動植物、天災も含む)と人間の共生にも必要なことですね。
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